普段からしっかりケアをしているつもりでも、冬が近づくと、肌が荒れる、つっぱる、粉を吹く……。

そんな肌トラブルに悩まされる季節になり、こうした肌トラブルの原因のひとつが「乾燥」。

とくに冬は、屋外の冷たく乾燥した空気に加え、暖房によって室内でも乾燥を起こす。

空気が乾燥していると、肌の水分が失われやすく、カサカサの乾燥状態を引き起こし、肌のつっぱりや粉吹きなど肌のトラブルを招く。

そして、肌の乾燥を引き起こす原因としてもうひとつ考えられるのが、普段の食事。

もちろん乾燥を防ぐ保湿スキンケアと同じぐらい重要なのが、ケアを効果的にするためにもその土台となる、栄養。

そこで、健康的な肌づくりにはどんな栄養素が必要か。これから訪れる冬の乾燥や肌トラブルの原因、また原因別に摂るべき栄養素などについて、やさしい美容皮膚科/皮フ科 秋葉原院 宇井千穂 院⻑に聞いた。

冬に乾燥肌になりやすい理由、乾燥肌のメカニズムを知る

乾燥肌とは、表皮の角質層の水分保持機能が低下し、皮膚の水分の減少が起こっている状態。

これが進むと、細菌や汚れ、紫外線や乾燥など、さまざまな外的要因から身体の中を守ってくれている皮膚のバリア機能を損なう恐れが出てくる。

バリア機能は外側からだけでなく、身体の内部から水分などを外へ出さないようにする役割もある。

この機能が低下してしまうと皮脂分泌量の低下や、角質層の細胞間脂質であるセラミドなどの天然保湿因子が低下し、肌は外部の刺激により赤みやかゆみなどの症状が出やすくなり、洗顔でヒリヒリしたり、化粧品かぶれを起こしやすくなる。

また、冬に肌が乾燥する大きな原因として考えられるのが気温の低下。

気温の低下による空気の乾燥で肌の水分が蒸発しやすい状態を引き起こす。

また、暖房器具の使用により、乾燥が進んでしまったり、寒さで血流が悪くなることによって皮膚の代謝が悪くなるともいわれている。

血流が悪くなると、体に様々な不調が出てきますが、肌も同様、体の冷えによって、肌に栄養が行き届きにくくなる。

肌の栄養が不足すると、肌の細胞が生まれ変わるサイクルである肌のターンオーバーが乱れ、皮膚のバリア機能の低下につながり、さらなるトラブルを招いてしまうという。

肌に欠かせない栄養を毎日摂って肌を内側からケア

乾燥肌は、さまざまな肌トラブルの原因になり、放置していると皮膚疾患につながる恐れがある。

シミ、シワ、ニキビ、肌荒れなどの肌トラブルを避けるための重要なポイントは、肌の表面にあるバリア機能を向上させること。

バリア機能が正常に働いていると、肌の水分を保ち蒸散を防いでくれるほか、乾燥を防ぎ、アレルゲンなどの侵入や外部刺激から肌を守ることができる。

肌のバリア機能を保守するためには、保湿や正しいスキンケア、過度にこすったり、触ったりしないなど外部刺激を避けることはもちろん、睡眠や栄養バランスの優れた食事を続けることで、ターンオーバーが整い、肌が乾燥しにくくなる。

健やかな肌に欠かせない栄養を、食材やサプリで毎日、適量を摂ることで、肌を内側からケアしたい。

そこで、冬の乾燥肌を予防・改善する「ビタミン B群」や「たんぱく質」に注目↓↓↓

新陳代謝のサイクルを正常に整え、新しい細胞の再生を助ける「ビタミン B2」

ビタミン B2 は水溶性のビタミンで、糖質、脂質、タンパク質の代謝、エネルギー産生に関わる酸化還元酵素の補酵素として働く。

ビタミン B1 が糖質の代謝に関わるのに対して、ビタミン B2 はとくに脂質の代謝を助け、皮膚や粘膜、髪、爪などの細胞の再生に役立つ。

「発育のビタミン」ともいわれ発育促進に欠かせない栄養素のひとつで、乾燥肌対策にも欠かせない。

ビタミン B2 は、皮膚や髪、爪の細胞の再生や保護に関係している成分でもあり、脂質代謝を助けるので、過剰な皮脂分泌を抑制することで毛穴の開きやニキビ、肌荒れの予防にも効果的。

そのためビタミン B2 が不足してしまうと、肌のバリア機能が低下し、乾燥が原因の肌トラブルや、過剰な皮脂分泌などを招く可能性がある。

ビタミン B2 を摂るには、適切なサプリのほか、レバーやうなぎ、肉、魚、アーモンドなど幅広い食材に豊富に含まれている。

のりや乾燥わかめ、干しシイタケなど乾物にも多く含まれ、1食あたりに食べる量を考慮すると、それほど多くない。

また、水溶性のビタミンは酸や熱で分解されやすい栄養素ですが、ビタミン B2 は比較的に強く、調理による損失が少ない栄養素。

いっぽう、光やアルカリには分解されやすい性質を持っているので、調理前の食材は冷暗所など光が当たらない場所に保管したい。

また、肌のターンオーバーを促す働きを期待する場合には、タンパク質やコラーゲン生成を促すビタミン B6 といっしょに摂るのがおすすめ。

また、水溶性であるビタミン B2 は、尿といっしょに体外に排出されやすく、体内にとどまりにくい性質であるため、サプリなども活用しながら意識してこまめに補給することが大切。

エネルギー消費量が多い人ほどビタミン B2 を必要とするので、スポーツをする人は積極的に摂るように心がけたい。

たんぱく質をつくるのを助ける「ビタミン B6」

ビタミン B6 は、エネルギー代謝の補酵素として重要なビタミン。

とくにタンパク質の分解を助けるため、摂取量が多い人ほど、ビタミン B6 の必要量も多くなる。

免疫機能の正常な働きの維持、皮膚の抵抗力の増進にも必要で、赤血球のヘモグロビンの合成にも欠かせない栄養素。

また、肝臓に脂肪が蓄積するのを防ぎ、肝脂肪の予防にも効果を発揮する。

乾燥肌対策に欠かせない ビタミン B6 の代表的な働きは「タンパク質」「脂質」「炭水化物」の代謝。

それに加えて皮脂の分泌をコントロールする役割も担っているので、肌の健康には欠かせない栄養素。

皮脂が正常に分泌されると、乾燥肌が改善し、ニキビや吹き出物もできにくくなり、肌のバリア機能も向上するので、冬時期でも調子よく過ごせる。

サプリなどでも補えるビタミン B6 は、牛、豚、鶏肉、レバーや、マグロをはじめとした魚の赤身、ひまわりの種やピーナッツなどの種実類に多く含まれる。

動物性食品、植物性食品にかかわらず、多くの食材から摂取することができるが、水に溶けやすく、酸や光に弱いため、冷凍食品や加工食品で取り入れると効果は減少してしまう。

刺身などできる限り新鮮な状態で摂取するのもおすすめだ。

肌の生まれ変わりをサポートする「タンパク質」

タンパク質は、炭水化物・脂質とともに 3 大栄養素と呼ばれるエネルギー源のひとつ。

1g で約 4kcal のエネルギーを生み出し、エネルギー源よりも組織や酵素、ホルモンの材料として優先的に使われている。

タンパク質は 20 種類のアミノ酸で構成され、そのうち 9 種類は「必須アミノ酸」とよばれ、体内でつくれない。

そのため「必須アミノ酸」は、タンパク質を主とした食事から摂取する必要がある。

体内で合成できない必須アミノ酸(9 種)と、体内で合成できる非必須アミノ酸(11 種)に分けられ、セロトニンなどのホルモンや、消化吸収、代謝をサポートする酵素、さらには免疫力を支える抗体など、生命の維持に欠かせないさまざまな機能で重要な役割を担っている。

乾燥肌対策に欠かせないタンパク質は、皮膚や筋肉などを作る栄養素で、肌細胞の原料でもある。

タンパク質の1種であるコラーゲンは肌の真皮層において繊維のように絡んで肌の弾力やハリを生み出すスポンジのような役割をしている。

タンパク質をしっかり摂取することは、コラーゲンの生成を助けることになり肌の弾力やハリを保つことにつながり、さらにタンパク質はターンオーバーを促進する役割も担っているので、肌の生成には欠かせない栄養素に。

タンパク質を構成する 20 種のアミノ酸のうち、9 種は体内でつくることができないため、毎日の食事から積極的に摂取しよう。

タンパク質は、肉類や魚介類などに豊富な動物性たんぱく質と、野菜や豆類などに含まれる植物性たんぱく質のふたつに分けられる。

これらの主な違いは、必須アミノ酸のバランスです。必須アミノ酸とは、体内で合成できないアミノ酸のこと。

必須アミノ酸のバランスがよく、体内に吸収されやすいのは動物性たんぱく質だが、動物性たんぱく質が豊富な食品には脂質が多く、摂り過ぎると肥満につながるおそれがあるので、どちらもバランスよく摂ることが大切。

宇井千穂 院長「サプリメントで補うこともひとつの方法」

「冬は外気や暖房器具による乾燥などによって、肌荒れが増える時期です。

近年、肌荒れで皮膚科にお越しいただく方の多くが栄養不足による肌荒れに悩まれている傾向にあります。

栄養は塗り薬や美容液など、肌からも導入できますが、肌のバリア機能は皆さんが思っている以上に優秀なため、外からの侵入をガードしてしまい効果が薄れている可能性があります。

そこで、確実に栄養補充するためには、体の中から補充する栄養バランスの摂れた食事が大切になります。

保湿などのスキンケアはもちろん大切ですが、バランスの良い食事などインナーケアも並行して行いましょう。

また、栄養素は今回あげた3つだけではなく、バランスよく摂ることが重要です。

そして、とくに食事から摂る事が一番大切ですが、何らかの理由で食事制限していて、食事からの摂取が難しい方もいます。

そんなときはサプリメントで補うこともひとつの方法です」(宇井千穂 院長)

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