2025年には、65歳以上の高齢者のうち、認知症患者数は推定700万人。5人に1人が認知症という世になるといわれている。
しかも、この認知症に大きく関係するといわれる症状のひとつが、難聴。
そして、難聴は、認知症になる12のリスク要因のうち、最も大きく影響する要因といわれている。
―――そんな難聴と認知症に関する最新情報と、人工内耳について知る説明会を開いたのが、日本コクレア。
幅広い年齢層の人々の聴こえをサポートし、人工聴覚器を手がける日本コクレアは、3月3日「耳の日」を前に、難聴への理解を深めるセミナーを開催。
同社 上中茂弘 執行役員社長をはじめ、愛知医科大学 医学部 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 内田育恵 特任教授、東ちづる が登壇し、最新情報を共有した。
難聴の受診率アップ、人工内耳の認知向上を
日本コクレア 上中茂弘 執行役員社長は、難聴に関する最新調査結果を報告。
60歳代の難聴に関する受診率は59%、治療率は54%、世代別比較で最も低い結果に。
また60歳代の補聴器外来の受診率はわずか7%で、自身の難聴の程度を知らない人は72%にものぼった。
さらに高齢者の難聴の治療法である人工内耳についての認知率は11%と低く、補聴器外来の受診率有無における人工内耳の認知率には大きな差があることもわかった。
―――こうした現状について上中社長は、60歳代の難聴の受診率アップ、補聴器外来の受診率アップ、高齢者の難聴のち療法である人工内耳の認知向上が必要と伝えた。
聴覚専門の耳鼻咽喉科医、補聴器相談医に相談を。人工内耳という選択肢も
愛知医科大学 内田育恵 特任教授は、加齢とともに聞こえにくくなったときの重要なポイントや人工内耳について説明。
「聞こえにくくなったときは、聴覚専門の耳鼻咽喉科医による適正な聴こえの管理と維持を。
補聴器を検討するときは、補聴器相談医に相談を。相談しないで集音器や補聴器を購入しないこと。
もし難聴の進行により、補聴器の装用効果がなくなった場合もあきらめない。人工内耳の適応となる可能性もある」
高度から重度難聴の治療の選択肢に
人工聴覚器を手がける日本コクレアの公式サイトには、難聴の診断と治療、人工聴覚器の検討・仕組み、人工聴覚器手術の準備と手順・費用などが紹介されている。
「ほとんどの場合、補聴器が機能するしくみは音量を大きくすることです。これとは異なり、人工内耳は耳の損傷部位を迂回して聴神経を直接刺激します。
これによって音が明瞭になり、会話がより理解できるようになります。また、社交の場でも自信を取り戻し、友達や家族とともに再び充実した生活が送れるようになります。
近年の研究によると、人工内耳の装用者は補聴器を使用していた時よりも、話された文章に対する理解力が8倍向上しました。
人工内耳は音量と明瞭度を向上させることで、高度から重度難聴の治療の選択肢となります。
人工内耳は、難聴が進んで、補聴器による効果が感じづらくなってきた場合にその適応が考慮されます」(日本コクレア)
https://www.cochlear.com/jp/ja/home
東ちづる「難聴は治療ができる病気」
トークセッションで登壇した東ちづるは、「まず難聴だってことを気づくことがすごく重要なんですね」と。
耳垢をそうじしただけで聴こえがよくなるというケースもよくあることについてもびっくりし、人工内耳について「補聴器が合わなかった父がなかなかつけなくなって、家族の会話からもはずれてきた。『自分の悪口を言われてる』と思われたときショックだった」と。
「治療すればまた楽しい人生が待っていますから、ぜひ早期に診断してほしいですね。難聴は治療ができる病気と、認識していただきたいですね」