ロアッソ熊本 トップチームヘッドコーチだった藤本主税氏を新監督にむかえ、長野県 南長野運動公園総合球技場 長野Uスタジアム をホームとするサッカーJ3クラブ AC長野パルセイロ が、2025新体制でスタートを切った。
AC長野パルセイロ のスポーツダイレクター兼トップチーム強化部長に就任した西山哲平氏(大分トリニータGM → AC長野パルセイロ)も、「チーム強化だけではなく、アカデミーを含めた組織強化、ビジョンの策定と実行がミッション」と意気込む。
西山哲平 新強化部長は、1975年 千葉県生まれ。専修大松戸高を経て、クリシューマEC → フジタ/ベルマーレ平塚 → モンテディオ山形 → 大分トリニータ と選手として渡り歩き、2010年 大分トリニータ 強化部スカウトに。
14年に渡り、大分トリニータを裏で支え、「鷲澤社長をはじめ、クラブ幹部の方々の本気でパルセイロを変えたいという強い覚悟、私への想いに心を打たれ、そんな情熱を持った方々と仕事がしたい」とAC長野パルセイロ のスポーツダイレクター兼トップチーム強化部長に就任した。
大分から長野へ、新体制が始動した新天地 AC長野パルセイロ で、西山哲平 新強化部長はどんな気持ちで挑むか。いまの想いをこう教えてくれた。
組織の在り方の見直し、強い組織を
―――この役職に就任したときの率直な感想を。
クラブが変革期を迎えようとしているなかで、その役割は非常に重要ですし、重責に強く責任を感じています。
トップチームの強化はもちろんですが、ビジョンの策定、組織の在り方の見直し、強い組織をつくっていければと思っています。
―――ファンや関係者に向けて最初に伝えたいメッセージは?
外から来た人間として、球技専用スタジアムを持つ長野は非常に恵まれているクラブともいえます。
そのスタジアムをいっぱいにしたい。足を運んで「パルセイロを見たい」と思っていただけるようなサッカーをお見せしたいと思っています。
大分の昇格経験が長野でも活かせる
前所属の大分トリニータでは、チームがJ3に降格が決定したタイミングで強化責任者に着任しました。
そこから幸いにもJ2・J1昇格を果たすことができました。
ケースは同じとはいえませんが、すべてのカテゴリーで昇格した経験は、きっとパルセイロでも活かせると考えています。
アイディアやグループ力で相手を上回る
また、大分トリニータは予算規模的にJ2では中位以下に位置付けするクラブです。
そのような環境ではいかにコストパフォーマンスを最大に発揮するかが肝になると考えています。
そのへんのやり繰りの経験も活きると思っています。
具体的にはアイディアやグループ力で相手を上回ることだと考えています。
またそのグループを構成するひとりひとりの人間性も重要視しています。
しんどい時に仲間のためにもうひと踏ん張りできるかであったり、もう一歩足を伸ばせるかはそこにつながっていると思っています。
―――では就任後、最初に取り組みたい具体的なプロジェクトや改革案は何か?
まず監督招聘が一番のミッション
正直、財政的に厳しい状況にあるというのは認識しています。
そういったなかで選手の力を最大限発揮できる監督を招聘することが一番のミッションだと考えました。
それが藤本主税監督になります。
彼の持つ人間性、情熱、求心力、育成力は必ずやチームを良い個方向に導いてくれると思っています。
アカデミーを強化しクラブがめざすサッカーを確立
風通しの良い組織を構築
中長期的なビジョンとしてはアカデミーの強化です。
将来アカデミー出身選手がトップチームのスタメンの3~4人を占めるということを目標としたいと思っています。
そのためにはまずクラブとして目指すサッカーを確立し、風通しの良い組織を構築したいと思っています。
時間のかかることですが、地道に進めていきたいです。
未完成の選手を皆さんといっしょに育てていく
昨シーズンホーム最終戦を現地で見させていただきましたが、スタジアムの素晴らしさはもちろんですが、ゴール裏の熱気を非常に感じました。
その輪をもっと広げていけたらなとおもっています。スタジアムをいっぱいにしたいです。
AC長野パルセイロ は、J1のクラブのように完成した選手を獲得することは難しいと思っています。
未完成の選手を皆さんといっしょに育てていく、みんなでチームをつくっていく、そんな関係性を構築することができたらそんな幸せなことはないと思っています。
J2昇格、同時に強い組織をつくる
ずばりJ2昇格です。同時に強い組織をつくること。
長野は地理的にもスポーツ文化的にも非常にポテンシャルがあるところだと思っています。
J2に昇格することでそれが加速的に進むとも考えています。皆さんに違う景色を見てもらいたいと思っています。
難易度は前所属以上、やり遂げて成長へ
前所属でもチームの強化だけではなく、クラブの組織の構築やクラブ経営に携わってきましたが、AC長野パルセイロ はその部分ではまだ未熟なところがあるように感じています。
その難易度は前所属以上のものだと認識しています。
それをやり遂げることが自身の成長につながると思います。
―――そんな “難易度が高い AC長野パルセイロ” を、西山哲平 新強化部長はどうリーダーシップを発揮し、前進させるか。
全員が当事者意識を持つ
感謝とリスペクトの精神も大事に
私のモットーは全員が当事者意識を持つことです。
ひとりひとりがクラブを支えているという意識を持ってもらうことが大事だと考えます。
例えばどうしてもトップチームが脚光を浴びることが多いですが、裏方スタッフしかり、アカデミースタッフも重要な構成員で、すべての人がクラブを支えていると思っています。
感謝とリスペクトの精神も大事にしたいと思います。
アカデミーの選手をブラジルへ短期留学も
実はブラジルに留学経験があり、日常会話であればポルトガル語が話せます。
ブラジルとのネットワークを少なからずあるので、アカデミーの選手を短期留学させることも将来的には視野に入れています。
AC長野パルセイロ が強くなり
長野のスポーツ文化が発展
当然昇格したいですし、より上の順位を目指しますが、来期はまずチーム・クラブの基盤をつくる年という位置付けになると思っています。
2年目以降により具体的な目標を立てられるようにしたいと考えています。
AC長野パルセイロ が強くなることで、より長野のスポーツ文化が発展することにつながればと思っています。
赤エミ―を改革し、アカデミー出身選手が増えることでもそこに貢献できると考えています。
サポーターとの意見交換を大事に
あくまで強化担当者は裏方なので、目立つ必要はないと思っていますが、どのようなビジョンで動いているかその透明性は必要かと思っています。
その一環がサポーターズミーティングであり、クラブから発信する SNS であるのかなと思います。
すべては人と人なので、意見交換は大事にしていきたいと思っています。
―――AC長野パルセイロ 西山哲平 新強化部長は最後に、サポーターに向けてこんな気持も伝えた。
AC長野パルセイロ サポーターは日常的な風景なので気づかないかもしれませんが、実はこのホーム 長野Uスタジアム の、陸上トラックのない“距離感”はとても凄いことなんですよ。
子どものころから下の名前で呼ばれていますから、みなさんも「てっぺいさん」と呼んでください。よろしくお願いします。