
「かつて、わたしたちは『誰もがソフトウェアを使える社会』をめざし、ソフトウェアの流通を支えてきました。
時代は移り、AIが社会を変革する新たな波が訪れています。
ベクターホールディングスは、ソフトウェアの先駆者として培った信頼と経験を土台に、次の時代のインフラを創るという使命を掲げ、挑戦します。
それは、「誰もがAIを使える社会」。
この大きなビジョンの実現に向け、わたしたちは AI時代の新たな社会基盤を構築する企業へ進化していきます」
―――そう語るのは、ベクターホールディングス 轟木一博 代表取締役社長。
次世代型高性能サーバーとアノテーション運用で加速

国内最大級ソフトウェアダウンロードサイト「Vector」をルーツとするベクターホールディングス(東京都港区芝公園)は、日本発 AIインフラ構築実現をめざし、アメリカ Cornami社製 省電力・暗号技術特化チップ搭載「次世代型高性能サーバー」を導入し、さらにアデコ社のアノテーション運用の実績とノウハウを活かす連携へと出る。
12月3日に都内で開いた発表会には、ベクターホールディングス 轟木一博 代表取締役社長や、Cornami,Inc.ゴードンキャンベル(Gordon Cambell)Co-Founder,Executive Chairman&CEO らが登壇し、今後の取り組みやビジョンを伝えた。
国内企業が安心してAIを導入・運用できる環境の整備を

あらゆるシーンで生成AIが活用されているなか、AI推論需要の増大にともなう電力制約、機密情報の管理体制整備、サイバー攻撃リスクの高まり、さらに日本語特有の言語構造に適合した学習データの不足など、AI導入に不可欠な基盤整備には依然として重大な課題がまだまだある。
しかも、企業単独でこれらの課題を包括的に解決することは困難で、各分野の高度な専門性を結集した対応が求められている。
そこで、ベクターHD は、Cornami 社製 省電力・暗号技術特化チップ搭載「次世代型高性能サーバー」の導入と、アデコ社のデータ品質および人材支援の知見を組み合わせることで、国内企業が安心してAIを導入・運用できる環境の整備をめざしていく。
ワットあたり桁違いに高い性能を発揮

ベクターHD が導入する 米 Cornami 社製「次世代型高性能サーバー」は、同社独自の 非ノイマン型・大規模並列処理・拡張可能アーキテクチャにより、大規模言語モデル(LLM)の処理において、NVIDIAH100ベースのサーバーと比較して、ワットあたり桁違いに高い性能を発揮するとの評価が示されている。
医療 金融 公共サービスなどのニーズに対応

また、データを暗号化したまま情報を処理することができる より高度な暗号方式 FHE(完全準同型暗号)技術を兼ね備え、医療・金融・公共サービスなど、最高レベルの機密性が求められる規制の厳しい分野における AI活用の安全性を大幅に向上させることも期待できる。
ベクターHD は今後、同サーバーの性能、国内事業者の運用環境における適合性などを、Cornami社 と連携しながら検証していく。
アデコ社とのアノテーション領域における連携

ベクターHD は、AI品質の根幹を成すデータ品質の向上に向け、アデコ社と連携し、同社アノテーション運用の実績とノウハウを活用することで、日本語特有の語彙・文体・文化的背景を適切に反映した高品質な学習データを整備していく。
アノテーションとは、AI・機械学習の領域において、分析対象のデータに対してラベルを付与するプロセスをいう。
これは、機械学習の分類のひとつである「教師あり学習」において行われるプロセスで、精度の高いアノテーションは学習精度を向上させるといわれている。
ベクターHD はさらに、将来的には医療や教育など専門分野に特化したアノテーション人材育成にむけ、AIサービス品質向上とAI社会を支える人材基盤を整備していく。
電力効率 データ品質 安全性ある日本発AIインフラ構築へ

「今後、AIは単なる技術ではなく、社会基盤としての役割が求められています。
AIの競争軸は性能や規模ではなく、「信頼性」「安全性」「持続性」へと移行しており、これらの点で日本は世界的に高い評価を受けています。
ベクターHD は、AI基盤整備の中核となるべく、今後も各分野の専門性を有する企業との連携を推進し、電力効率、データ品質、安全性を兼ね備えた日本発のAIインフラ構築に継続して貢献してまいります」(ベクターHD)

