
ユートピアは本当に存在するのか?
それは創造の中での空想に過ぎなかったのではないか?
人の営みは光と影を創り出す。
その影の部分に人は視線を落とすことなく、蓋をしてしまっている。
それが現在の都市かもしれない。
Visional City Design Competition 第一回目のテーマはあえて、その “都市の影” の出口を探すデザインを募集したいと思う。
―――そんな年間テーマ「Exit of DYSTOPIA(ディストピアの出口)」を放ち、年齢・国籍・所属・資格などいっさい不問の建築コンペ「Visional City Design Competition」(TRIAD主催)が開かれ、集まった作品は284点。
この284点のなかから、最優秀賞(賞金 300万円 1組)、優秀賞(各100万円 2組)、COZUCHI 賞・COMMOSUS 賞・TRIAD 賞(各50万円 各1組)が決まった。
都市の「影」の部分に光をあて 新たな価値を生み出す創造的な提案を期待

TRIAD 想造都市デザインコンペ Visional City Design Competition は、以下対象エリアから、応募者自身が考える「都市の影(課題)」について、実在する場所や敷地を選定し、その解決方法を作品で表現する。
都市の「影」の部分に光をあて、新たな価値を生み出す創造的な提案が期待されている。
対象エリア:都心6区(千代田区、中央区、港 区、 渋谷区、 新宿区、目黒区)
課題の例:未活用地、老朽化した建築、開発から取り残された空間 など
解決方法例:建築、デザイン、ビジネスモデル、法律 など
―――ということでここからは、各受賞作品について、審査員が感じた評価などを込めてチェックしていこう↓↓↓
審査員(敬称略)

藤本壮介(藤本壮介建築設計事務所 主宰)
谷尻誠(SUPPOSE DESIGN OFFICE 代表取締役)
中村寛(多摩美術大学リベラルアーツセンター大学院教授/アトリエ・アンソロポロジー代表)
林亜季(ブランドジャーナリズム 代表取締役CEO)
齋藤精一(パノラマティクス 主宰)
武藤弥(LAETOLI 代表取締役 CEO)
富田奈利次(TRIAD 執行役員)
最優秀賞 愛と世界とラブホテル
谷卓思 塚村遼也

「性に関して、思わず蓋をしたがる“不健康さ”があると思うが、ラブホテルという既存の建物を活用し、リノベーションから広がるというアイデアは非常に面白い。また、プレゼンテーションとしても論理的であると感じた」(武藤)
「以前は“性=隠すもの”という認識だったが、最近は少しずつオープンに捉えている印象があり、今後大きなテーマになり得る。まさに今取り上げるべきものだと感じている」(谷尻)
優秀賞 Project: EARTH LINEs
西村蒼 中西亮介 伊達善行 平林航一 砂川良太

「都市は地方からの物流が途絶えると今後滅びる可能性があるため、都市地帯で植生(農業)を行うという提案は、未来において大事なことだと感じる。今後AI時代でも失われない職業は農業と言われていることもあるが、それを抜きにしても、環境改善の一つの方法としてもなりうるのではないか」(谷尻)
優秀賞 死とは何か
上高原将礼

「墓地の扱いは非常に難しいが、(地下墓を作るという)このアイデアはその1つの読み解き方として現実性があると感じた。また、少子高齢化につれて今後さらに“死”と直面する場面が多くなってしまう世の中で、地下墓の在り方は非常に良いと感じる」(齋藤)
COMMOSUS 賞 流転する砂
道家浩平 石黒翔也 鹿毛瑛文

「現在の都市は、石や砂利を郊外から次々と運んで来る一方、盛り土をせずに捨ててしまっているという不思議な状況に陥っている。それを再生し、都心でサーキュラリティを完結させるというアイデアは非常に面白いうえに、粉砕機が都心で管理さえできれば現実的なラインのアイデアでもあると感じる」(齋藤)
COZUCHI 賞 箱、咲く。-日本橋箱崎町 首都高高架下 T-CAT舞台化計画-
松永彩歌

「T-CAT(東京シティエアターミナル)は以前よりも注目される機会が減っているため、再生の必要性がある。このようにインバウンドコンテンツとして集客することで、再び注目される可能性が大いにある」(武藤)
「目の付けどころが素敵。日本橋らしく歌舞伎座を取り入れているだけでなく、“T-CAT”ということで猫をモチーフとして融合している点も面白い」(林)
TRIAD 賞 街区を縫う-ガレージを縫い代とした新しい都市の見方-
中川諄也 本間陸斗 佐藤唯花

「マンションの1階を商いできる住宅として貸し出すケースはよくあるが、そういったところから地域の交流が生まれる。(この作品は)ガレージの活用を提案しているが、そのように交流の場を設けることで街の風景は大きく変化する可能性があるだけでなく、賃貸で埋まらない1階を埋める効果も見込めるので、非常にリアリティがある」(谷尻)
―――アツい“都市ソリューション熱”が集結した、第1回 Visional City Design Competition 。
第1回ということは、第2回もあるということで、今後の募集要項に注目を↓↓↓
https://www.vcdc.jp/
(最終候補作品)

Pray Play Ray~生を知る~
千葉遥 菅原匠 佐藤俊文

Plantia Tokyo~ごみと人類との共生の場~
藤田慎平 古川禄 澤津陽伊人

Re-Stack 郵便施設の再構築
冨谷亮介 冨谷美朝子

ふるぷらー日本の共有クローゼット化ー
西田颯 市東豪 石田悠菜

国会議事堂動物園
遠藤賢也

小さく住まい、大きく動く
福田凱乃祐
