企業のM&A(合併・買収)や事業継承というトレンドのなかで地方銀行はどう動き、地域に貢献していくか―――。

その実績を称える「第7回 M&Aバンクオブザイヤー表彰式」が6月12日、帝国ホテル東京で開かれ、全国の地方銀行66行のなかから、12行が6部門に選出された。

主催は日本M&Aセンター(https://www.nihon-ma.co.jp/)。このM&Aバンクオブザイヤーは、同社との協業で優れた実績・事例を達成した地銀を、バンクオブザイヤー、地域貢献大賞、ディールオブザイヤー、情報開発大賞、特別賞、事業承継・M&Aエキスパート協会賞の6部門で選出する。

地方銀行はいま、人口減少、超高齢化、後継者不足問題、成長の閉塞感といった社会背景・経営課題に直面している企業のM&Aにむけた取り組みが活発化している。

日本M&Aセンターは、こうした地方銀行と提携し、M&A業務をサポート。店長研修や行員むけ勉強会、出向者受け入れなどで協業し、M&Aの成約件数を伸ばしている。

同社 三宅卓代表取締役社長は表彰式の冒頭、地方創生にむけた戦略ビジョンをこう伝えた。

「零細企業にはM&Aによる存続、中小企業にはM&A譲渡による存続、中堅企業には買収または大手の参加入りでさらなる発展、上場企業にはスター企業を育て地域活性化を、それぞれめざす」

また同社は、「地方を重視した事業継承セミナーを積極展開」「譲受希望企業への情報提供を強化する」という、2つの2019年度重点施策も公表した。

66行から選ばれた12行と事業継承のトレンド

そしてことしのM&Aバンクオブザイヤー最高賞 バンクオブザイヤーは、北陸銀行が受賞。

北陸銀行は、日本M&Aセンターとの成約・受託件数など主要項目でトップクラスの実績を出し、4度目の受賞に。

またそのほかの5部門の受賞者は次のとおり。

◆地域貢献大賞
北海道・東北:岩手銀行(岩手)※初受賞
関東:群馬銀行(群馬県)※初受賞
北陸・甲信越:北陸銀行(富山県)
東海:大垣共立銀行(岐阜県)
近畿:滋賀銀行(滋賀県)
中国・四国:阿波銀行(徳島県)※初受賞
九州・沖縄:大分銀行(大分県)※初受賞

◆ディールオブザイヤー
譲渡:肥後銀行(熊本)※初受賞
譲受:名古屋銀行(愛知県)※初受賞

◆情報開発大賞
譲渡:北洋銀行(北海道)※初受賞・初表彰
譲受:北陸銀行(富山県)

◆特別賞
北越銀行(新潟県)

◆事業承継・M&Aエキスパート協会賞
十六銀行(岐阜県)※初受賞

――― 経営を存続させるという課題に直面している地方企業。表彰式で聞こえてきたコメントが、その切実さを物語っている。

「北海道は、日本企業の後継者不在率が全体で66.4%あるなか、北海道はそれを上回る73.5%。こうした状況のなか、道内でもM&Aや事業承継などの案件が増えていると実感している」

「われわれもチームをつくって対応してきたが、単独では難しいということで、去年から日本M&Aセンターの支援を受けていっしょに取り組んできた。首都圏からの経営人材導入などにも取り組み、力をあわせて地域に貢献していきたい」

この日、表彰式会場には石破茂 衆議院議員も登壇。「地方創生を語る」というテーマで展開した基調講演の内容については別立てで伝える。

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