「趣味の分野を宿泊と連携することで、コロナ禍でも底固いニーズがある」

「小さい旅館ならではの対応強化、より個人客むけへのシフトチェンジへの絶好機会」

「分散型旅行への対応。市場が変化しているなか施設も変わらないといけない」

―――国内の旅行業史上、最大の危機に陥ってるいま、国内の旅館・ホテルが、こうした想いと斬新なアイデアで再起へと動き出している。

全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)青年部はこの2~3月、加盟宿泊施設を対象に「宿泊施設の取組み」についてオンライン調査・オンラインワークショップイベント「全国旅館・ホテルサミット 2021」を実施。

そこでみえてきたのは、密回避・マイクロツーリズムという波をうけながらも、安心して旅行を楽しんでもらうための改善策や新プラン、斬新アイデアで挑む再起にむけた取り組み……などなど。

オンライン調査(270施設)とオンラインワークショップでみえてきた、国内宿泊施設のいまとは……?

50室以下・1.5万円以下の宿が再起へ奮闘

オンライン調査では、食事スタイルや地域間連携への積極的な動きがわかった。

たとえば、「問合せが最も多い」といわれる「食事対応」については、レストランや食堂で一同に会して食事するこれまでのスタイルではなく、「個食」や「部屋食」へと切り替えるたり、食事時間を柔軟に対応する宿・ホテルが増えてきた。

また、マイクロツーリズムが定着していくなか、地域と連携した集客やプラン開発、宿独自の体験型プランにも積極的に取り組む事例も増えてきた。

いっぽうで、このオンライン調査で回答した国内宿泊施設のおよそ3割を占める、50室以下かつ宿泊平均単価1万5000円以下の宿が、再起へ奮闘中。

財務状況から投資に限界があるなか、地域連携など、既存リソースでできる取り組みに積極的。

今後について「来てもらえるだけでじゅうぶん、とくになにも望まない」が41.7%で1位のなか、ワーケーションやリモートワークむけプランの開発などにも意欲的であることがわかった。

コロナで増えた「宿で完結する旅」 独自体験プランも

さらに、「全国旅館・ホテルサミット2021~宿泊施設参加オンラインワークショップイベント~」では、加盟宿泊施設の独自プランや意識改革で、地域観光のハブをめざす動きなどを加速させていくことを共有した。

同サミットでは、「確かめる旅」から「発見する旅」へとニーズが変わるなか「選ばれる宿」にむけて個性や特色を強く打ち出していく計画・対策についても語り合った。

また、テイクアウト、客室のジム化、企業誘致、ワーケーション対応空間への更新、温泉熱を利用したスッポン飼育など、新たな事業に挑戦している宿の報告もあった。

さらに、宿の個性を強烈に打ち出したプランなども紹介。イタリア車好きな運営者が企画した「イタリア車限定」でワインサービスなどのランクアップサービスを実施したり、サウナ好きむけに部屋にサウナを設置し話題を集めたりと、同サミットではさまざまな斬新アイデアを加盟宿泊施設どうしで共有した。

◆全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)青年部

http://ajra.jp/

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