将来の課題として地球規模で抱える問題に積極的に取り組む企業と、それを可能にする科学・テクノロジー・エンジニア・数学分野でのスキルを持つ人材をマッチングするエージェント、SThree(エススリー)。

SThree(エススリー)は現在、STEM(科学・テクノロジー・エンジニアリング・数学)に特化した人材紹介を世界15か国、44拠点で展開し、人材需要が高まるSTEM市場の企業と求職者のマッチングに貢献。市場をさらに活性化させるべく、2012年に日本オフィスを設立した。

そんなSThree(エススリー)ジャパンのトップ、Chris Reilly 代表取締役は、STEM分野で求められる女性活躍の重要性について、どう考えているか―――。

<Chris Reilly 代表 プロフィール>
イギリス出身。イギリスで SThree に入社し、マンチェスターオフィスにてIT分野のリクルーティングに特化した Computer Futures のコンサルタントとしてリクルーティングのキャリアを開始。

2014年にはマネージャーとなり、マンチェスターオフィスとイギリス国内のその他のオフィスに所属するチームのマネジメントを行う。イギリスの SThree での6年間で200名以上のITプロフェッショナルの転職を支援してきた。

2016年に日本オフィスへと移籍し、当時10人規模だった Computer Futures ジャパンのチームを40名を超える規模のビジネスまで成長させる。2018年から複数のブランドのディレクターを務めたのち、2020年に SThree ジャパンの代表取締役に就任。

STEM分野でも男性と女性の格差はありますか?

はい、STEM分野でも男女間格差は未だになくなっておらず、まずその数からして圧倒的な差があります。

私たちの仕事はSTEM分野の優れた人材を見つけ、それらの人材を必要とする企業と結びつけることなので、日々多くの時間をクライアント企業や求職者とのコミュニケーションに費やしていますが、私たちが日常的に話すクライアント企業の担当者の方や求職者の方の9割以上が男性と言って差し支えありません。

なかにはこのアンバランスや男女間格差を認識し、もっと女性を採用したい、企業の成長のためにも採用しなくてはならないと積極的な取り組みを行っており、そのような希望を当社に共有してくださる企業も見られますが、まだまだ少数派といえます。

私自身、日本に来る前はイギリスやアイルランド、ドイツのチームのマネジメントを行っており、STEM分野における男女間の格差はどの国でも見られましたが、それらの国では少なくともこのままではいけない、女性を増やさないといけないという危機感はどの企業も感じていたように思います。

個人的な経験からしても、実際の格差や企業の認識という点でも、日本は後れを取っているように感じます。

STEM分野の発展に、女性進出はどのようにお考えですか?

これはSTEM分野に限りませんが、ジェンダーを含む様々な多様性を担保することは、業界や企業を成長させるうえで非常に大切だと考えています。

多様な組織はそれだけ多くの視点や意見、考え方を得ることができるため、より良い製品やサービスの提供を通じて、企業の成長が実現できます。

社内的にも、より公正で平等なポリシーの策定などを通じ、魅力的な企業、働きたい企業として求職者に認識してもらうことができ、より優秀な人材の獲得につながります。

STEM分野の良い点のひとつとして、多くの仕事がリモートワークで行えることが挙げられます。

例えば、継続的に高い需要のあるソフトウェアエンジニアなどは、時間や場所の制約を受けることなく仕事ができ、柔軟性の高い働き方が可能です。

妊娠・出産を経た女性が仕事に復帰しづらいというのは日本の大きな社会問題の一つですが、高い柔軟性を実現できる仕事に目を向けることが、この問題の解決の糸口になるかもしれないと考えています。

STEM発展のためには、どうすることが発展につながると思いますか? SThree としてその役割は?

STEM分野の発展のためには、やはり高いスキルや専門性を持った優秀な人材の確保が不可欠です。

いっぽうで、日本は少子高齢化による労働人口の減少も相まって、国内でそのような人材を確保することは決してかんたんではありません。

私たち SThree ができることとしては、日本国内で事業を展開する企業と海外・世界の人材プールの懸け橋となり、必要なスキルを持った STEM人材をご紹介することです。

事実、STEM分野にはソフトウェア開発や新薬の開発など、日本語が話せなくてもスキルや経験を持っていれば活躍できる職種が数多くあり、国際的なネットワークとバイリンガルのコンサルタントを抱えた当社のような人材紹介会社が日本のSTEM分野のために果たすことのできる役割は大きいと信じています。

女性活躍の推進に関していえば、当社自身が多様性に価値を置く企業として、ジェンダーを中心とした多様性を確保することの重要性をクライアント企業の皆様に啓もうしていくという役割も担っています。

まずは現存する男女格差に気づくこと、そしてそのためにアクションを取ることの重要性に加えて、女性を積極的に採用し、女性活躍を推進する企業のサポートを行っていくことが STEM分野全体の発展につながると考えています。

STEM分野においてジェンダー偏見はありますか? その解決策は? ジェンダーに対する SThree の取り組みとは?

社会の根本的な近台として、男女格差に加えてバイアスもまだ強く残っていると感じます。

例えば、STEM分野で活躍する企業の製品(自動車や医薬品などが代表的ですが)は、利用者の半数は女性であるはずですが、製品の安全性を決断する際には男性を基準とした規格が適用されたり、男性の意見が重視されたりと、かなりの偏り=バイアスが見られます。

これを解決するには、意見が反映される立場や決断を下すことのできる立場にもっと女性を登用し、すべてのプロセスにおいて女性をもっと積極的に巻き込むこと以外に方法はありません。

当社の取り組みとしては、対外的には女性の求職者の声を代弁し、クライアント企業に対して多様性の重要性を伝えていくことです。

また、社内的にも女性のリーダーを育てていくことに積極的に取り組んでおり、女性リーダー育成プログラムや国を越えたメンターシッププログラムなど、女性の挑戦を後押しすることに力を入れています。

STEM分野は人材不足? 現在の求人状況はどのような状況にありますか?

STEM分野はかなりの人材不足に悩まされています。

STEM分野においては特に最先端の知識を持った若い人材が重宝されることもあり、少子高齢化が進んだ日本では人材不足がより深刻な問題となっています。

IT やライフサイエンス分野を見渡してみても、ブロックチェーンやRNAワクチンなどに代表されるように日々新たなイノベーションが起きており、市場に出回っている製品の多くが過去数年で開発されたものです。

例えば、30年前に大学でコンピューターサイエンスを学んだ求職者と、3年前に新しい知識や技術を学んだ求職者では、現在の市場に与えるできることの価値が大きく異なります。

進歩のスピードに追い付き、未来を見据えるためには若い才能が不可欠ですが、日本では若くてスキルを持った人材が大きく不足しているのが事実です。

いっぽうで、スキルを持った求職者にとっては転職がしやすく、良い市場だということがいえます。

日本ではまだ終身雇用システムのレガシーがありますが、STEM分野においてはあまり当てはまらず、自分のキャリアゴールに合わせて転職を繰り返す求職者も少なくありません。

理由としては、スキルを持っていれば転職が容易にできることに加えて、新たな環境に身を置いて新たなスキルや経験を身に着けたいという上昇志向に基づいています。

高い専門性やスキルが求められる STEM分野においては、今後多くの企業がシフトしていくであろう「ジョブ型雇用」がすでに基本的な雇用形態になっているといえます。

―――業界をリードするグローバルな大企業から、革新的なスタートアップ企業まで、さまざまな規模や形態、フェーズの企業の成長を加速するために、必要な人材をマッチングさせるSThree(エススリー)。その詳細は、公式サイトをチェックしてみて↓↓↓
https://www.sthree.com/ja-jp/

おすすめ記事