子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン性で選ばれた住まいとは、どんな居住空間やコミュニティを生むか―――。

そんな問いへのヒントになるのが、ポラスグループがつくる住宅ラインナップ。ポラスはことし、第16回キッズデザイン賞で過去最多の13点が受賞した。

その受賞作品のなかの5つが、「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン」部門を受賞。ここでは、「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン」に選ばれた1点と、あわせて5点のコンセプトや着想、注目ポイントをみていこう。

MINORI-Project

中央住宅 戸建分譲設計本部 設計一部による「MINORI-Project」は、見沼たんぼの農体験などによって子どもの居場所を地域に生み出す街づくりが特長。

さいたま市緑区の分譲住宅を中心に、 場所・モノ・コト・ヒトの繋がりを通して地域や暮らしの場で子どもの居場所を育むプロジェクトで、居・食・住をテーマに庭や緑との関わりを促す暮らしを提供し、地域への関わり を深めるとともに、子どもの学びにつなげる。

分譲地の住民が地域との多世代交流を形成し、子どもの居場所づくりを促進するためには、街と地域とのつながりを日常化する仕掛けが必要。

ここでは、近くに見沼たんぼがあることから、農を軸にした仕組みを考えた。農業は子どもの学びも大きく、地域活性化にも貢献できる。

いっぽう、コロナ禍で庭への関心も高まっていることから、ポタジェや果樹など自宅の庭で農を楽しむと同時に、近隣農家のサポートのもと、見沼たんぼでの農体験などグリーンワークショップを実施。

子どもの居場所とコミュニティの醸成を目指す。住居内には天然木パネルを多用し、子どもの情感に訴える空間演出にもこだわったという。

一本の木の共有から育まれる小規模分譲開発

中央住宅 戸建分譲設計本部 設計二部が手がけた「一本の木の共有から育まれる小規模分譲開発」は、街区の中心をコモンスペースにし、落葉樹を植樹。ボタニカルライフをシェアしている点が特長。

田の字型の4棟の分譲住宅の中心部に、共有持分によるコモンスペースを設け、落葉樹を植樹。4戸で維持管理する。

このオープンガーデンは現代の井戸端。自然に共助や共育が実現し、子どもたちの心にプラスの影響を与える街を開発した。

ここでは、土地の権利形態の見直しを図り、路地空間と共有地を一体的に計画。敷地の余白を集約した空間をつくり、住戸は共有地に向けてプランされていて、緑を室内に取り込んだ。

育てることで育む『農』のある暮らし

中央住宅 戸建分譲設計本部 設計二部の「育てることで育む『農』のある暮らし」は、子どもが農のある暮らしを体験できるよう、春日部市で開発した農園と住宅を併設した分譲住宅。

種まきから収穫、採取した野菜を食べ、余った食材は販売することまでをフードサイクルとし、これを元に活動する。

子どもには、農体験を通して自然との触れ合いや家族以外の人とのコミュニケーションを経験させる。

他者との交流が減るとともに、飽食の中で食への興味が減少しているという近年子どもたちの課題を解決するため、 幼少期から土に触れ、野菜を自ら育てる農体験を通して、食べ物の大切さや収穫の喜び、人との交流機会を得られる住まいが必要と考えた。

ここでは、自宅の庭に家庭菜園用のポタジェを設置。雨水タンクも備え、まずは自宅で花や野菜を育てる。そして分譲地の隣には広い農園を併設。プロの農家さんの指導の下、本格 的な農作物づくりに取り組んだケース。

まちの間 陽だまりのケーススタディ

ポラスガーデンヒルズによる「まちの間 陽だまりのケーススタディ」は、建物配置を平行的かつ立体的にずらして設計することで陽だまり空間を創出した空間。

子育て世帯に人気の流山市。そのなかでも区画整理が進む 木地区で開発した12棟の分譲住宅。南側に5棟、北側に7棟の配置した。

通常の整然とした建物配置ではなく、平面的・立体的にずらす手法によって、より明るく、内部空間と一体となった多様な「あそび間」をデザイン。

子どもたちはウチソト関係なく自由に遊びまわり、親はそれをゆったりと見守る、豊かであたたかい時間が生まれる。

建物配置では、それぞれの建物をひとつのラインに揃えるのではなく、引いたり出したり、敢えてずらすことで、プライベート性の高い陽だまりの空間となる庭をつくった。

さらに、立体的 にも、南側に面した建物の屋根には下屋を作り、北側の空間 にも陽光が十分に届くようにした。

また、視線レベルの高さの壁や、各庭に植えた木々の緑によって、外部からの視線をゆ るやかに遮り居心地の良い空間をデザインした。

下屋で建物を低く抑え、陽だまりが生まれたテラスは、子どもたちの格好の遊び場となり、内部空間と一体となった中庭やテラスをつくることで親もおおらかに子を見守ることができる。

土間と大黒板マグネットのある住まい

ポラスタウン開発が手がけた「土間と大黒板マグネットのある住まい」は、家の中心に趣味を楽しむ土間や大黒板マグネットをはじめ好 きなものや作品を飾ることができるスペースを設けた住まいに。

それぞれがお互いの生活やハマっていることを共有することで家族内でコミュニケーションが深まる。

これまでの、家の中に飾るスペースや趣味を楽しむスペースが少ないという声に応え、家の中心に土間空間を設けたほか、装飾スペースとしてハンギングシェルフ、黒板マグネット(階段の壁を活用した 大面積のもの)、ニッチ、ペグボートを設けた。

こうして子どもが自慢できるものを家族で共有することで、子どもは褒められ、自己肯定感を高められるという。

アンビエントフロアーCV

そして最後は違うカテゴリの受賞アイテムを。

ポラスと住宅資材センターが開発した「アンビエントフロアーCV」は、抗菌・抗ウイルス機能を付加したオリジナルの木質フローリング。ことしの第16回キッズデザイン賞で、「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン部門」を受賞した。

「アンビエントフロアーCV」は、抗菌・抗ウイルス機能を付加し第三者機関の SIAA の認証を取得したオリジナルの木質フローリング。

国産木材を使用。合法木材確認といった環境面まで配 慮。無垢の木の風合いのラスティックデザインを採用。1枚から出荷できる。

両社は、ウイルスを含んだ飛沫は床に落ちても数日間は生きるため、 家庭内での感染リスクを減らすためにこの「アンビエントフロアーCV」を開発。

床材表面に抗ウイルス剤、抗菌剤配合の塗装を施し、24時間後、99%以上のウイルス減少を確認した。

SIAA(抗菌製品技術評議会)に認証され、ISO21702 法の基準をクリア。皮膚感作性などの安全基準にも準拠し、子どもが舐めても直接肌で触れても安全。抗ウイルス効果は半永久的に持続するという。

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