ロシア・ウクライナ紛争にともなうエネルギー価格の高騰、コロナ禍明けアメリカの急激なインフレ、そして歴史的な円安……。
長らくステルス値上げで耐えていた日本企業が、堰を切ったように値上げラッシュ。
2022年のインフレ率は4.1%(2022年比・総務省統計局)と発表され、家計負担も看過できないレベルになってきた。
歴史的な物価上昇、2023年今後の見通しは? 家計への対策は?
そんな不安・疑問に答えてくれたのが、お金の相談サービス「マネーキャリア」、ペット保険の比較相談サービス「MOFFME」を運営する Wizleap 谷川昌平 代表取締役(ファイナンシャルプランナー)。
2023年と今後の見通しを含め、今後の動向を分析し、こう教えてくれた。
電気代の高騰でSNSが阿鼻叫喚な2023年1月
「歴史的な物価高があった2022年から年を跨いで、冬の電気代でSNSが荒れています。
日本では原油や天然ガスなどの発電燃料を輸入に頼っているため、エネルギー価格の高騰が電気代の市場価格に転嫁されました。
我が家でも月5万円の電気代で妻が嘆いておりましたが、オール電化の家庭では月10万円以上を超える家庭もあったということで、ちょっとした家計の支出、というレベルを超えた負担となったように思います」(Wizleap 谷川昌平 代表)
なぜ一斉に値上げ・物価高騰が起こったのか?
「食料品などをメインに10%前後の値上げが起こりました。おもな値上げ商品をまとめてみました。
一般的に、主な原因のキーワードとしては「ロシアウクライナ紛争によるエネルギー高騰」「コロナ禍明けの需要増」「円安による輸入品の高騰」が挙げられています。
しかし、単純にそれだけではありません。
日本の企業は、値上げは顧客離れにつながるという意識が強く、企業努力によってカバーをされてきていました。
そのため、実際には値上げではないものの、“価格を据え置いて内容量を減らす値上げ”が起こっていました。
ネット上では「ステルス値上げ」とも呼ばれています。
コロナ禍で経営的に大きなダメージを受けてきた会社、たとえば飲食業界など、需要の大きな減少に対しても企業努力でカバーをしてきた経緯もあります。
また、純粋な人口減によって市場が小さくなっている企業もあります。
需要の変動に対しても価格が変わらないことを、経済用語としては、価格硬直的な状態といいますが、「エネルギー高騰」「円安」などの「言い訳」ができたことによって、一斉に堰を切ったように値上げが行われました」(Wizleap 谷川昌平 代表)
政府の方針としての「値上げ」
「政府は2016年の金融政策会合で、「2%の「物価安定の目標」と「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」」の方針を打ち出しています。
端的に言えば、金融緩和によって銀行の貸し出しを増やし、お金の総量を増やし、賃金上昇・物価上昇の好景気に持っていきたいという意図ではあります。
こうした背景もあり、値上げが加速している要因にもなっています」(Wizleap 谷川昌平 代表)
年金対策としての値上げ
「みなさんは「年金マクロスライド」という言葉をご存知でしょうか?
これからの日本の年金事情を語る上では重要なキーワードです。
政府が値上げ方針をとっているのは経済的な理由だけではありません。
少子高齢化にともなう年金の負担減のため、という理由もあります。
年金マクロスライドとは、物価上昇や賃金上昇に対して、年金の上昇額を抑えることで、実質的に年金額を減らしていく仕組みです。
物価上昇や賃金上昇があると、労働している現役世代とは異なって、固定の金額である年金世代では苦しい生活となるため、年金額を同じ基準で上げるのが平等と考えます。
わかりやすく説明すると、年金額を据え置いて物価を上げる(=円の価値を下げる)ことで、実質的に年金額の減額を図る、というものです。
今後も年金マクロスライドは適用されてきますので、現役世代はもちろん、50代や60代も、定年後も働いたり、年金対策のための資産形成を始める重要性が高まっています」(Wizleap 谷川昌平 代表)
値上げ以前からも苦しい日本の実態
「日本の値上げの状態は不健全な状態といわれています。
日本はおせじにも景気の状態が良いとは言い難いですが、不景気・デフレ状況では、価格の低下とセットが一般的です。
にもかかわらず、物価が上昇する局面は、「スタグフレーション」といって生活者にとって非常に厳しい状況です。
もちろん、企業が賃金を上げることがセットで起これば上昇局面に転換する可能性もありますが、増税や社会保険料の増加などで、小さな賃上げにとどまっているのが現状といえます」(Wizleap 谷川昌平 代表)
エネルギー価格や電気代の高騰で物価上昇は続くか?
「結論から入りますが、2023年も値上げの傾向は続くと考えられます。
2023年2月とおもな生活用品の値上げが発表されたものも、すでに存在しています。
ここまで説明してきたとおり、
◆エネルギー価格の高騰などで原価が上がってしまったこと
◆企業が値上げに対しての抵抗感が薄れてしまったこと
◆政府手動で、大手企業に対して値上げ目標が定められていること
を理由に値上げは続くトレンドと考えます」(Wizleap 谷川昌平 代表)
「マネーキャリア」で資産形成の自助努力を
「値上げはすなわち、お金の価値の下落です。銀行にお金を預けていると実質的にお金の価値の総量が減っていくことになります。
多くの人たちにとっては、値上げで家計が苦しいながらも、お金を守り、お金に増やしてもらう、資産形成の自助努力が重要になってきます。
これまでも約5万世帯のお金の相談を受けてきましたが、お金の専門家(ファイナンシャルプランナーなど)にご相談を希望の方はぜひ「マネーキャリア」をご利用ください」(Wizleap 谷川昌平 代表)
◆マネーキャリア
https://money-career.com/