テンプロ・マヨール
(C)Secretaría de Cultura-INAH-MEX

1955(昭和30)年、東京国立博物館で開かれた「メキシコ美術展」から68年のときを経て、再びメキシコの古代文明を体感できる特別展が、東京国立博物館 平成館にて開催される。

しかも今回は、マヤ「赤の女王」が奇跡の初来日!

それが、東京国立博物館 特別展「古代メキシコ -マヤ、アステカ、テオティワカン」。6月16日~9月3日、夏休みを含めた2か月半の特別展。

―――メキシコには、35もの世界遺産があり、なかでも高い人気を誇るのが、古代都市の遺跡群。

前15世紀から後16世紀のスペイン侵攻までの3千年以上にわたり、多様な環境に適応しながら、独自の文明が花開いた。

この特別展では、そのうち「マヤ」「アステカ」「テオティワカン」という代表的な3つの文明に焦点をあて、古代メキシコ文明の奥深さと魅力に迫っていく。

2月1日には主催者や学識者が集結し、その魅力を伝授

2月1日、この東京国立博物館 特別展「古代メキシコ -マヤ、アステカ、テオティワカン」の魅力や貴重価値、見どころを伝える説明会が開かれ、東京国立博物館 富田淳 副館長、NHK メディア総局・展開センター 秋山大介 統括プロデューサー、NHKプロモーション イベント事業センター 小野昭一 センター長、朝日新聞社 企画事業本部文化事業部 鈴木麻之 部長、メキシコ国立人類学歴史研究所 フアン・マヌエル・ガリバイ 局長(映像メッセージ)、岡山大学 文明動態学研究所 杉山三郎 特任教授、東京国立博物館 学芸研究部調査研究課考古室 井手浩正 室長らが登壇。

彼らが伝える、東京国立博物館 特別展「古代メキシコ -マヤ、アステカ、テオティワカン」(6月16日~9月3日開催)の魅力・貴重価値・見どころを、チェックしていこう。

マヤの「赤の女王」(レイナ・ロハ)、奇跡の初来日

赤の女王のマスク・冠・首飾り
マヤ文明、7世紀後半
パレンケ、13号神殿出土
アルベルト・ルス・ルイリエ パレンケ遺跡博物館蔵
(C)Secretaría de Cultura-INAH-MEX. Foto: Michel Zabé

マヤの代表的な都市国家パレンケの黄金時代を築いたパカル王の妃(きさき)とされるのが、赤い辰砂(しんしゃ)に覆われて見つかった通称「赤の女王」(スペイン語で「レイナ・ロハ」)。

その墓の出土品を、メキシコ国内とアメリカ以外で初めて公開!

パカル王の息子と孫、ひ孫に関連する遺物もあわせ、200年にわたる王朝一族の物語を浮き彫りにする。

古代メキシコの至宝約140件が一挙に集結

嵐の神の壁画 テオティワカン文明、350~550年 テオティワカン、サクアラ出土
メキシコ国立人類学博物館蔵
(C)Secretaría de Cultura-INAH-MEX. Archivo Digital de las Colecciones del Museo Nacional de Antropología. INAH-CANON

考古と民族資料の宝庫であるメキシコ国立人類学博物館をはじめ、アルベルト・ルス・ルイリエ パレンケ遺跡博物館、テンプロ・マヨール博物館、テオティワカン考古学ゾーンなど、メキシコ国内の主要博物館から厳選した約140件を、近年の発掘調査の成果を交えて紹介。

世界遺産の魅力を体感できる展示空間

碑文の神殿(パカル王墓)と13号神殿(赤の女王墓)
(C)Secretaría de Cultura-INAH-MEX

パレンケのパカル王と王妃(赤の女王)の墓、アステカの大神殿(テンプロ・マヨール)、テオティワカンの三大ピラミッドなど、メキシコが世界に誇る古代都市遺跡の魅力を、映像や臨場感あふれる再現展示で存分に伝えていく。

―――こうした3つの見どころに加えて、東京国立博物館 特別展「古代メキシコ -マヤ、アステカ、テオティワカン」(6月16日~9月3日開催)では、第1~4章まで、4部構成で展開する。ここからは、その各章をチェックしていこう↓↓↓

第1章 古代メキシコへのいざない

前1500年頃、メキシコ湾岸部におこったオルメカ文明は、メソアメリカで展開する多彩な文明のルーツともいわれている。

「第1章 古代メキシコへのいざない」では、オルメカ文明の象徴的な一作品を紹介し、マヤ・アステカ・テオティワカンに通底する4つのキーワード「トウモロコシ」「天体と暦」「球技」「人身供犠」を解説する。

第2章 テオティワカン 神々の都

死のディスク石彫
テオティワカン文明、300~550年
テオティワカン、太陽のピラミッド、太陽の広場出土
メキシコ国立人類学博物館蔵
(C)Secretaría de Cultura-INAH-MEX. Archivo Digital de las Colecciones del Museo Nacional de Antropología. INAH-CANON

テオティワカンは、海抜2300メートルのメキシコ中央高原にある都市遺跡。

死者の大通りと呼ばれる巨大空間を中心に、ピラミッドや儀礼の場、官僚の施設、居住域などが整然と建ち並んでいた。

この「第2章 テオティワカン 神々の都」では、近年の発掘調査や研究成果をもとに、巨大な計画都市の全貌を明らかにしていく。

第3章 マヤ 都市国家の興亡

トニナ石彫171
マヤ文明、727年頃
トニナ、アクロポリス、水の宮殿出土
メキシコ国立人類学博物館蔵
(C)Secretaría de Cultura-INAH-MEX. Archivo Digital de las Colecciones del Museo Nacional de Antropología. INAH-CANON

マヤは、前1200年頃から後16世紀まで、メソアメリカ一帯で栄えた文明で、後1世紀ごろには王朝が成立。

都市間の交易や交流、ときには戦争を通じて大きなネットワーク社会を形成した。

「第3章 マヤ 都市国家の興亡」では、マヤの文化的発展と王朝史に注目。とくに王朝美術の傑作と名高い「赤の女王のマスク」をはじめとする、王妃の墓の出土品を、本邦初公開する。

第4章 アステカ テノチティトランの大神殿

テンプロ・マヨール
(C)Secretaría de Cultura-INAH-MEX

アステカは、14世紀から16世紀にメキシコ中央部に築かれた文明。その首都テノチティトラン(現メキシコシティ)は湖上の都市で、中央に建てられたテンプロ・マヨールと呼ばれる大神殿にはウィツィロポチトリ神とトラロク神が祀られていた。

この「第4章 アステカ テノチティトランの大神殿」では、アステカの優れた彫刻作品とともに、近年テンプロ・マヨールから発見された金製品の数々を紹介する。

特別展「古代メキシコ ―マヤ、アステカ、テオティワカン」開催概要

公式サイト:https://mexico2023.exhibit.jp/
会期:2023年6月16日(金)~9月3日(日)
会場:東京国立博物館 平成館
開館時間:午前9時30分~午後5時
休館日:月曜日、7月18日(火) ※ただし、7月17日(月・祝)、8月14日(月)は開館
主催:東京国立博物館、NHK、NHKプロモーション、朝日新聞社
協賛:NISSHA
後援:メキシコ大使館
企画協力:メキシコ文化省、メキシコ国立人類学歴史研究所

トラロク神の壺
アステカ文明、1440~69年
テンプロ・マヨール、埋納石室56出土
テンプロ・マヨール博物館蔵
(C)Secretaría de Cultura-INAH-MEX. Museo del Templo Mayor

支配者層の土偶
マヤ文明、600~950年
ハイナ出土
メキシコ国立人類学博物館蔵
(C)Secretaría de Cultura-INAH-MEX. Archivo Digital de las Colecciones del Museo Nacional de Antropología. INAH-CANON

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