7月1日に町田GIONスタジアムに隣接するセルビーランドで開催された「玉川大学マッチデー」。玉川大学・玉川学園が中心となり、ワークショップやステージパフォーマンスなどでJリーグFC町田ゼルビアのホームゲームを盛り上げました。午前中の雨から一転、晴れ間を見せた当日の会場にはイベントブースや出店が並び、応援チームのユニフォームに身を包んだサポーターや親子連れで賑わいました。
特に注目を集めたブースの一つが「Tamagawa Mokurin Project」ブース。3月のEco to フェスタでは芸術学部が中心となり初出展、6月の横浜開港祭では工学部が中心に、3度目となる今回は再び芸術学部が主体となったワークショップを展開しました。今回の内容は、大学キャンパス内の落ち葉を羽に見立て、クラフトペーパーのカワセミを作成するというもの。カワセミはゼルビア・サポーターの腕につける応援バンドに仕上げられ、イベント後の試合ではスタジアムの応援席を彩りました。

イベント開始直後から、ブースには幼児から小学生まで年齢も様々な子ども達の姿が。作成を指導する玉川大芸術学部をはじめとする学生スタッフ達と「カワセミの顔、体、クチバシは何色かな?」「羽にするのはどの木の葉がいいかな?」と言葉を交わし、色鉛筆やハサミを使い夢中で作業する様子が見られました。カワセミの羽として用意されたのは、玉川大のキャンパス内で収集したケヤキ、サクラ、シラカシ、サルスベリの4種類の木の葉。小学生の男の子はギザギザのケヤキの葉をチョイスしオリジナリティ溢れるカワセミを作り上げました。出来上がった応援バンドを胸元に掲げ、「色を塗るところが楽しかった。特に羽に見える形の葉を選んだ。また作ってみたい」と誇らしげな表情で感想を伝えてくれました。中には、自分が選んだ葉はどんな木なのか興味を持ち、ブース内に展示された幹や解説をまじまじと見つめる子も。

デザインの種はキャンパスの森から

子どもも大人も楽しめる素朴で愛らしいこのバードキットは、芸術学部メディア・デザイン学科の吉田峻晟さんによるもの。自然溢れる玉川大のキャンパスを歩いていた時の気づきが制作のきっかけになったと言います。「葉はそれぞれ色あいも形もちがう。こうやって一つ一つ観察する中で遊びに繋げられたらと今回の作品を思いついた」と吉田さん。自身も幼い頃から自然に親しんできたが、「僕たちの世代は自然といえば公園で、山や川といった没入出来る自然は親世代と比べると身近ではなくなっていた。この工作をきっかけに、人々が少しでも自然に触れる機会を増やせていけたら。ひいてはそれが地域への貢献になれば」と語りました。

この作品以外にも、落ち葉を模した色鉛筆でデザインコンテストの優秀賞を受賞するなど、その才能を開花させている吉田さん。彼は、このクラフトペーパーのデザインでGOOD DESIGN NEW HOPE AWARD 2022 グッドデザイン・ニューホープ賞にも入選。どの作品も身近な自然への優しい眼差しが感じられます。「実は入学当初はグラフィックデザインの専攻を考えていた」とのこと。同大の設備の充実ぶりから他の分野への興味が湧き、造形の世界へシフトチェンジをしたのだそう。「アウトプットをする機会が多く得られるのも玉川大ならでは。木工室やレーザーカッター、3Dプリンターを使えたり、ガラスや陶芸の制作も出来る。やれる環境があるから未知の分野でもやってみようと思える。何かをつくるきっかけになるための環境が充実している」とその創作意欲を高める学校環境の魅力を話してくれました。

「自然の尊重」を信条とした学びの場を

同大学の特長の一つは、山そのものと言えるキャンパスの自然の豊かさとその広大さ。しかし、この自然はもともとあったものではなく、生徒や学生、教職員が創立時より手入れを行うことでつくり上げてきたものです。現在の里山としてのこの豊かな自然環境を維持するためには、定期的な間伐で環境を整えることが必須。木々の管理で産出された玉川産木材を教育研究活動で活かしていけるよう、企業との連携による森林循環ミニモデルの構築や、同大学農学部では、マイナスカーボンを目指す世界初の実証実験などを行って来ました。
「Tamagawa Mokurin Project」は「みんなで木の輪を広げよう」をコンセプトに、様々な木を知ってもらう展示やワークショップを2022年から行っています。人々が木に触れ、木に対する理解を深めながら環境づくりに取り組むことで地域の環境、ひいては地球の環境保全に貢献することを目的としているのです。

唯一無二のものづくり環境

芸術学部アート・デザイン学科の堀場絵吏講師は、「豊かな自然環境の中に各学部が一堂に揃うのが玉川大学の総合大学としての強み。一つの分野だけで問題解決をするのではなく、学部の枠を超えた学びを展開している」と言い、「他学部との横の連携が密で、アイデアや情報、技術の共有がしやすいことがよりよいものづくりに繋がっている」と話します。
進路を検討中の高校生には、「何をすればいいか迷っている人でも、玉川に来れば何か出来る環境が整っている。まずは来て何かをつくろうと伝えたい」とメッセージを送ってくれました。
豊かな自然が育む無二の才能がどんどん芽生えている玉川大学。緑豊かな環境に身を置き、自由に伸び伸びと表現が出来る地盤がこの地にあります。

※.カワセミクラフトペーパーの制作方法についてはYouTubeでも期間限定で紹介しています。
「ART BIRD PROJECT デモ動画 〜カワセミリストバンドを作ろう!〜」
https://www.youtube.com/watch?v=oTOmV-AxPAM

なお、Mokurinプロジェクトにおける芸術学部の活動は、次に8月末〜9月末までの期間で、MOCTION新宿ショールームでの企画展への参加が予定されています。

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