猛暑日が続いた夏も過ぎ、空気が冷たく、身体の冷えも感じるきょうこのごろ。

冬は身体の冷えや運動不足により、血行不良になりやすく、加えて屋内外の寒暖差による血圧変動が起こるなど、心臓や身体への負担も増え心疾患のリスクが高まる。

また、日照時間の短さが心に悪影響を与え、季節性感情障害(冬季うつ)などを発症するリスクも高まり、心身ともに不調になりやすい危険な季節ともいえる。

こうしたリスクがはらむ冬を、健康に乗り切るために、原因や予防方法をしっかり知っておくことが重要に。

そこで今回、冬にかけて気を付けたい症状や予防方法といっしょに、さまざまな健康リスクを回避できるといわれ、世界的に注目されている「フィッシュオイル」の働きや効果的な摂取方法を、管理栄養士・篠塚明日香氏監修の情報をチェックしていこう。

まずはポイントの整理。

命の危険もあるヒートショック、フィッシュオイルで動脈硬化リスクを低下

熱中症や交通事故よりも年間の死亡者数が多いのが、入浴中の事故。

なかでも冬場は浴室内外の温度差が引き起こすヒートショックが後を絶たない。

そんななか、フィッシュオイルに含まれる EPA、DHA の摂取により、動脈硬化を抑えられ、発症リスクを低下させることができる。

脳機能の活性にもフィッシュオイルが効果をもたらす可能性

日照時間の短さが原因のひとつにある「冬季うつ」や、脳機能の活性にもフィッシュオイルが効果をもたらす可能性。

病気だけじゃない、まだまだ知られていない生活を豊かにするフィッシュオイルの効果をチェックし、効率的にフィッシュオイルを摂取するメソッドも知ろう。

そこでまず、必須脂肪酸「フィッシュオイル」とは

フィッシュオイルとは、青魚から抽出した油のことで、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)の脂肪酸が主成分。

動脈硬化や血栓を防ぎ、血圧の低下や中性脂肪を減らすなどの作用を持ち、生活習慣病予防に効果があるといわれている。

イワシ、アジ、サンマ、サバ、マグロなどの青魚に多く含まれ、体内で生成できないため、食事やサプリメントから摂取する必要がある。

また脂肪酸には、常温で固体の「飽和脂肪酸」と、常温で液体の「不飽和脂肪酸」がある。

牛肉・豚肉の脂身やバターなどの飽和脂肪酸は、過剰摂取により心血管疾患のリスクが高まるいわれている。

いっぽう、血中コレステロールを下げるなど、身体に良いとされる不飽和脂肪酸のうち、フィッシュオイルの EPA や DHA は、この多価不飽和脂肪酸の n-3 系(オメガ 3 脂肪酸)に属する。

ヒートショックを起こさないために今すぐできる予防策

◆室内外の寒暖差を無くす
・入浴前には、脱衣所や浴槽を、入浴後も脱衣場や寝室を事前に温めておく
・湯温は 41°Cまでにし、入浴前に下半身を中心にかけ湯をする

◆生活習慣を整える
・飲酒後や体調が悪いとき、薬の服用後は入浴を避ける
・外気温が下がる前、身体活動が活発な時間帯に入浴する
・湯船からゆっくり立ち上がり、立ちくらみによる転倒などを防止

◆食生活を整える
・お酒やたばこの量を減らす
・高血圧のリスクが高まる食事を避ける

EPA DHA の摂取により動脈硬化を抑えられ、ヒートショックの発症リスクを低下

基礎疾患のある人がヒートショックを起こしやすい原因として、動脈硬化が挙げられる。

動脈硬化とは血管が硬くもろくなる状態。血管がもろいと、気温差による血圧の変動に耐えきれずに、さまざまな不調が現れやすくなる。

動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールは、数値が高くても特に生活に支障を感じず、自覚症状が無いことも多いため放置してしまう傾向がある。

そして血管の壁に(厳密には)酸化コレステロールが溜まっていくことで、動脈が固く狭く詰まりやすい状態になる。

―――そこへ、フィッシュオイルに含まれる EPA は、体内で増えた悪玉コレステロールを減少させる働きがある。

血管壁の(厳密には)酸化コレステロール蓄積を予防し、血液をサラサラに保つことで発症リスクを大きく下げることができる。

気持ちを制御するセロトニンは、ビタミン D やフィッシュオイルで効果を期待

冬季うつの原因は、秋冬の日照時間の短さが関係しているといわれる。

精神を安定させる働きのある脳神経伝達物質「セロトニン」が不足すると、感情のコントロールがとりにくくなったり、不安定になったりして気分が落ち込みやすくなる。

そのセロトニンの合成に関わっているのがビタミン D 。ビタミン D は、食物からの摂取だけでなく、皮膚から紫外線を浴びることでも合成される。

そのため、日照時間が長い夏は十分に合成できる反面、日照時間が短い冬はビタミン D が不足しがちになり、あわせてセロトニンレベルも低下してしまう。

また、体内で合成されたセロトニンは、細胞膜のセロトニン受容体に合致することで初めて作用するから、この細胞膜が硬くなってしまうと、セロトニンとうまく結合ができず、十分な作用が難しいといわれる。

フィッシュオイルの DHA という有効成分には、細胞膜を柔軟にする働きがあり、柔らかくなることで流動性を向上させてくれる。

「脳機能」の活性にもフィッシュオイルの効果が期待

フィッシュオイルに含まれる DHA や EPA は、病気を予防する効果だけでなく、「脳神経の再生」「神経の保護」「情報伝達の潤滑油」「脳細胞の活性化」など認知機能を維持する効果も期待されている。

また、赤血球中のヘモグロビンは、脳
内に酸素を運ぶ役割を担っており、このオキシヘモグロビン(酸素と結合したヘモグロビン)の量は、EPA・DHA 濃度が上昇することで増加するため、EPA と DHA を摂取することで脳細胞の活性化につながる。

とくに海馬の DHA 量が頭の良さに関わっているといわれており、脳の栄養素とも呼ばれている。

脳には、有害なものが外部から入らないようにするフィルターのようなものがあり、脳内に入れる成分と入れない成分を選別している。

DHA は通過することができる成分で、神経伝達物質の量を増やし、情報伝達の能力を向上させる働きがある。

神経伝達や情報伝達をスムーズにすることで「学習能力」「記憶力」「判断力」「集中力」が向上すると考えられている。

ヘモグロビンそのものが増加する、というよりも、もともと持っているヘモグロビンのうち、酸素と結合しているヘモグロビンの量が増えた、という報告がある。

万能栄養素とはいえ、フィッシュオイル(EPA、DHA)の摂取量は年々減少傾向に

厚生労働省が制定した「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」によると、フィッシュオイルに含まれる EPA や DHA などのオメガ 3 脂肪酸の 1 日あたりの摂取目安量として、成人男性の場合 2.0g〜2.4g、成人女性の場合 1.6g〜2.0g が推奨されている。

それに対し、厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、脂質の摂取量が増加しているにも関わらず、オメガ 3 脂肪酸の摂取量は年々減少していることが明らかに。

サプリメントでフィッシュオイルを適宜摂取するのも手

サバ・サケ・マグロ・いわし・うなぎなどの脂の乗った魚の身や内臓に豊富に含まれるフィッシュオイル。

とくに、小魚を食べて成長した天然の大型魚に多く含まれ、養殖の魚はエサによってはフィッシュオイルの含有量が少ないといわれる。

魚から直接フィッシュオイルを取り入れる場合は、「1 日にサバ缶 1 缶」が目安といわれることが多く、スーパーやコンビニで手軽に購入できる食品でオススメなのが「しめ鯖」。

しめ鯖は、加熱をしてないのでオメガ 3 の酸化や損失が無いため効率的に摂取できる。

加えて酢飯のお酢によって、たんぱく質の吸収をしやすくなるので、高齢者の方でも胃腸に負担をかけずに摂取できるオススメのメニュー。

また、魚や油を必要量摂ることが難しかったり、そもそも苦手だったりする人には、手軽に摂れるサプリメントで補うのも手。

「フィッシュオイル サプリ」で検索してみると、いろいろ出てくるから、あわせてチェックを。

監修:大人の栄養スクール 篠塚明日香 代表(管理栄養士)

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