豊かな自然を生かした新しい体験型の公園“パークミュージアム”を目指す東京都町田市の芹ヶ谷公園。3月2日には実証実験イベント「Future Park Lab(フューチャーパークラボ)2024 Spring」が開催され、多くの市民が来場しました。 
中でも賑わいを見せたのが、町田市にキャンパスを置く玉川大学のブースです。同大学が進めている「Tamagawa Mokurin Project」の連携企画として、工学部が開催した「木材×デジタル技術でオリジナルの作品をつくろう!」は、常に人だかりができていました。

「玉大の木」で世界に一つの作品創り


ファミリーや小学生を喜ばせたのは、同大学が保有しているレーザー彫刻機で制作する「オリジナルコースター」でした。来場者が持参した写真やイラストデータを取り込めば、レーザー彫刻機が作動。約10分で木材への刻印が完了します。家族写真や自身が飼っているペット、好きなキャラクターを依頼した来場者。レーザーが動き出し目の前で刻印が進むと「すごい!」、「綺麗に絵が描けてる!」と驚きの声を挙げていました。


利用する木材は玉川大学・玉川学園の間伐材で、キャンパス内で乾燥させたもの。企画、運営を担当した同大学工学部デザインサイエンス科の平社和也講師は「今回の出展は“木”がテーマになっています。オリジナルコースターに玉川大学産の木を活用するだけでなく、3Dプリンターで制作するネームキーホルダーの材料にも木くずが使われています」と話します。

通常、3Dプリンターの主な材料は樹脂。今回の試みでは木材を混ぜ込むことで木質化を図っています。平社先生によると、木材を混ぜ込んだもので生成された作品は強度が増し、劣化も防げるそうです。3Dプリンターによるネームキーホルダーも、テキストデータを入力してから20分ほどで完成しました。

学生らが“技術”でコミュニケーション


来場者への対応や機械の説明や操作をメインで担当したのは玉川大学工学部の学生たちです。3Dプリンターの作業を担当したエンジニアリングデザイン学科(新:デザインサイエンス科)の男子学生は「自分の思考したものがすぐに具現化できる技術ですが、なかなか人に説明する機会がなかった。今回のようなイベントで、自分たちが学んでいることをアウトプットできたのは貴重な経験」と語りました。

小さな子どもや親子を対応していた女子学生は「技術を使ってコースターのような身近な物を作ることで、気持ちが共有できます。私はユーザー目線で使いやすいデザインについて研究しているので、目の前の人が感動してくれるのはとても嬉しい」と語りました。

学生らの“技術を通したコミュニケーション”には平社先生も手応えを感じていたようで「来場者のリアクションは学生にとっても嬉しいもの。自分たちの学んでいる技術が世の中の役に立つと実感できた瞬間だったのでは」と有意義な経験をしている学生たちへの感想を語っていました。

一方、同大学農学部の山崎旬教授はブース「タネから木を育てよう!」を展開。こちらは公園内で種子を探し、樹木を育てるノウハウを学ぶワークショップです。子どもたちは嬉々として種を探し、ワクワクした様子で鉢に植えていました。

樹木が生い茂る緑豊かな玉川大学・学園のキャンパス。それを生かして地球環境保全に対応できる人材育成に向けた教育・研究活動や地域貢献が「Tamagawa Mokurin Project」です。芹ヶ谷公園が掲げる“パークミュージアム”に1歩近づく、有意義な“パークラボ”でした。

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