「わたしは、志摩の英虞湾(あごわん)で90年にわたり真珠の養殖・加工を営む一族の3代目です。
わたしにとって英虞湾は、子どものころからの楽しい思い出が詰まった最高の『遊び場』であり、『成長の場』でした。
大人になってからは、自然との共生のなかで、人が生き抜くことの厳しさを知った『仕事場』でもあり、いまは里海の大切さを教えてくれる『学びの場』でもあります。
わたしの『心の原風景』は、すべてこの海にあるのです」
―――そう語るのは、三重県伊勢市に本社をおき、真珠ブランド「カクダパールズ」を展開する、覚田真珠株式会社 覚田譲治 代表取締役。
伊勢志摩で1931(昭和6)年に創業した老舗真珠養殖会社の3代目が、いま新たな地方再生プロジェクトに挑んでいる。それが……。
かつて真珠養殖場だった地に新たな息吹を吹き込む、COVA(コーバ)
ここは、近鉄志摩線 最南端の終着駅、賢島駅からさらに南へクルマで25分。北欧のフィヨルドを思わせる、おだやかな伴田浦という、三重県志摩市志摩町の小さな入り江。
ここにかつて、覚田真珠の真珠養殖場があった。
覚田代表は、伊勢志摩 英虞湾は日本有数の入り江が連続する、美しくておだやかな風景に果てしない魅力を感じ、過疎化が加速するいまここで、地域活性化・地域復興・地域共生を実現させる、大人の極上リゾートホテル「COVA」(コーバ)でリブートすることを決意。
そしていよいよ2023年春にオープンするのが……。
地域活性事業の新しいベンチマーク、カクダのコウバが「COVA」に!
三重県 志摩市 志摩町、おだやかな伴田浦の入り江に出現する「COVA」(コーバ)は、全室オーシャンビューのプライベートヴィラが4棟、ロビーやラウンジ、レストラン、船着き場が一体となったセンターハウスのほか、ゆったり過ごせるゲストルーム、伊勢志摩に伝わる蒸し風呂を体感できるサウナルーム、シーカヤックや生牡蠣&伊勢海老水揚げ体験などができる体験ルームなどを、おだやかなリズムでレイアウト。
そのすべてが、「覚田の工場」(カクダのコウバ)として親しまれてきた倉庫や作業場、小屋を活用し、大規模リニューアルを経て、“大人の極上リゾート” へと進化させている。
この手法が、これまでにない地域活性事業の新しいベンチマークとして注目を集めている、地域活性化・地域共生・地域復興の最新事例。
建設中の現場をみて印象的なのは、「覚田の工場」(カクダのコウバ)にあった倉庫や高台の小屋が、ほどよい距離にあり、こうした既存の設備を再活用して生まれるプライベートヴィラやラウンジ、体験ルームが、コンパクトにつながり、環境にもやさしく、サスティナブルなリゾート空間に生まれ変わるという将来性を感じた点。
極上の「楽しい」「おいしい」「居心地いい」が、ゆっくりとリズミカルにつながっている里海空間―――そんな印象を得た。
「真珠養殖場跡地がすべてのベース、英虞湾がわたしの人生の原点」
覚田代表は、COVA 建設中の「覚田の工場」(カクダのコウバ)を歩きながら、このおだやかな英虞湾の魅力について、子どものころに振り返りながらこう語る。
「忘れられない、子どものころの思い出があります。真珠の養殖と加工業を営んだファミリーだったので、英虞湾に保有する養殖場跡地をベースにして、釣った魚のうまさを知り、必死に泳いで海の恐ろしさや冒険後の爽快感も、この英虞湾の海が教えてくれました。
英虞湾の海は豊かな幸を恵んでくれる場であり、また、冒険の場であり、恐ろしさとそれを克服したときの達成感もわたしに与えてくれました。
少年時代に、英虞湾で過ごした時間こそが、その素晴らしさを教えてくれた、困難に立ち向かうことの価値を教えてくれた、わたしの人生の原点なのです」
「いま壊れそうになっている、この素晴らしいサイクルを、再構築したい」
「英虞湾の美しさの核心は、その美しい自然のなかにある、人と自然の営みです。
自然に働きかける人たちがそこにいてこそ、自然はより豊かになり、住む人々に収穫の恩恵を分けてくれて、人はそこで暮らすことができ、また自然に働きかけます。
これがこの地で太古から続く、里海の持続可能なサイクルです。SDGs が提唱されるずっと以前から、里海の暮らしは連綿と続いていたのです。
そこでいま、壊れそうになっているこの素晴らしいサイクルを、わたしは再構築したい」
―――そんな覚田真珠 覚田代表の想いを結実させた事業のひとつが、この極上リゾート空間「COVA」(コーバ)だった。
冒険して、食べて、整える「リバイタライズな休日」を
「覚田真珠としては、『未来の里海』を実装するための体験型施設をつくるという想いで、ホテル・レストラン・スパ・サウナ・アクティビティを有機的に組み合わせた COVA で、地域活性化・雇用機会創出を。
この COVA を訪れる人たちにとっては、絶景とリラクゼーション、アクティビティを通して里海で遊んで、その恵みを食べて、リラックスできるラグジュアリーなリゾートホテルで「リバイタライズ」な休日を過ごせるという機会を提供できます。
覚田真珠の養殖場跡地にできる COVA(コーバ)は、緊張と弛緩、負荷と休息、喧騒と静寂、動と静、デジタルとアナログ、光と影、童心と大人心、交感神経と副交感神経、リフレッシュとリラックス―――2つの状態の間を、振り子のように大きくスイングさせる環境、場所と空間、アクティビティを提供していきます」
―――そんな覚田代表の想いが結実し、2023年春にオープンする「COVA」(コーバ)の、「入江を貸切る」という新発想で世に問う、極上リゾート空間をチェックしていこう。
船着き場があるセンターハウス、伝統の蒸し風呂を体感できるサウナも
ここからは、覚田代表が現場を歩きながら教えてくれた、各施設の魅力をチェックしていこう。
伊勢地方に伝わる蒸し風呂を体感できるサウナは、目の前が海で、サウナを飛び出して海水で整うこともできる。
また、志摩半島のローカルウッドであるウバメガシを計画伐採し、備長炭に加工して SPA に有効活用する計画もあるという。
高台にたたずむヴィラ、英虞湾の海を一望、サウナも!
伊勢志摩の森に生息するシダの道を上がっていくと、見張り小屋を大規模リニューアルしたヴィラが―――。
ダイニングや寝室の大きな一枚ガラスの向こうには、英虞湾が一望。さらにプライベートサウナやバスルームも。
―――英虞湾の西日にあたりながら、夕食までの時間をゆっくり過ごすのも、いい。
真珠養殖場時代の海遊び、五感フルで童心に帰れる時間
―――まだまだいろいろ、これまで体感したことのないアクティビティや食体験の魅力がいろいろある、 英虞湾の極上リゾート「COVA」(コーバ)。
ここ覚田真珠「覚田の工場」(カクダのコウバ)の湾内ではいま、ヒオウギ貝(食用)が養殖されている。
ふと足元に目をやると、あざやかなピンクの小道。これはカラフルなヒオウギ貝の殻を砕いたもの。
ここを「木漏れ日の散歩道のようにしたい」と覚田代表はいう。
子どものころのように桟敷を歩く覚田代表、養殖中のかごを水面に上げると、中にはヒオウギ貝が。
「バタバタバタッ」―――元気よく海水を吐き出している。地元では「バタ貝」とも呼ばれ、色鮮やかな貝殻が特徴。
そのヒオウギ貝の新鮮な貝柱に、覚田代表がナイフを入れ、そのままひと口で食べると……これが、ほんとうに新鮮で絶品!
ほどよい塩味と貝柱の甘みがとろける海の旨さ。「ヒオウギ貝がいちばんのおつまみ」と覚田代表は笑う。
志摩の食材をあらゆる方向から、美食への探求も止めない
―――いよいよ2023年、ここ伊勢志摩 英虞湾に誕生する、まったく新しい地域活性・地域復興・地域共生 極上リゾート空間「COVA」。
この COVA では、「イタリアンやフレンチなど、料理のジャンルで区切るのではない、志摩の食材をあらゆる方向から調理する和食ベースのイノベイティブ・フュージョン。わたしが世界中で出会った料理とその手法で、志摩の食材を召し上がっていただく」というから、いまから楽しみ。期待はふくらむばかり。
覚田真珠 覚田譲治 代表取締役 プロフィール
1995年 国際基督教大学教養学部社会科学科卒
1995年 株式会社ミキモト入社
1997年 覚田真珠株式会社入社
2014年 同社社長就任
一般社団法人 日本真珠振興会 副会長
http://jp-pearl.com/
日本の真珠生産・加工・流通の調整機関である日本真珠振興会において、真珠検定事業の立ち上げや、ジャパンパールスタンダードの策定に尽力。
日本真珠輸出組合 理事長
https://japan-pearl.com/
130 社からなる日本の真珠輸出政策、海外プロモーションの企画と実施を指揮している。現在は真珠業界の SDGsを啓蒙するウェビナーをシリーズで企画実施中。
三重県真珠振興協議会 会長
https://www.mie-pearl.com/
2016 年伊勢志摩 G7 サミットでのラペルピンプロジェクトを主導。三重県真珠振興協議会のリーダーとしてプロジェクトを成功に導く。2017 年には鳥羽志摩地域の海女と真珠文化の日本農業遺産認定を受け、世界農業遺産認定を目論んでいる。
―――自宅にて西洋ミツバチの養蜂を始めて3シーズン目。現在 4 群を毎週内検して、春から初夏には蜂蜜を分けてもらっている。また、ピザを焼くのも趣味のひとつで、この蜂蜜を使った quattro formaggi を得意とする。
◆覚田真珠
https://kakudapearl.jp/