ファーストパートナーズとファーストパートナーズ・キャピタル(ともに東京都港区)は、松尾研究所(東京都文京区)とともに、GPTモデルを活用し、LLM(大規模言語モデル)アプリと独自モデルを開発し、「 M&A Innovation MAI 」の運用をスタートした。
この M&A Innovation MAI ローンチにあわせ、ファーストパートナーズは本社で説明会を開き、中尾剛 代表取締役、ニッセイアセットマネジメント 松波俊哉チーフ・アナリスト、松尾研究所 AI開発事業 山本悠介 AIコンサルタントらが登壇した。
AIによる自動化や企業分析で最適な企業統合や事業承継を実現
従来のM&A仲介では、労働集約的な営業や紋切り的な買収提案を行うことが多くあった。
このためほんとうに相性のいい企業同士によるM&Aばかりではなく、締結の早い取引が優先されてしまう構造が存在していた。
そこで、ファーストパートナーズ・グループと松尾研究所は、AIによる自動化や企業分析によって、各企業が育んできた強みや文化を無駄にすることなく、取引後の企業成長を最大化するような最適な企業統合や事業承継を実現させる。
そして、LLM を用いた日本全国の企業分析と、過去のM&A事例の特徴量分析を行い、営業プロセスおよび提案資料作成のAIによる補助を実行。
さらに、ChatGPT に用いられるGPTモデルの拡張により、M&Aや事業承継に不安や興味のある経営者の悩みに応答するチャットボットを公開する。
この M&A Innovation MAI で、ファーストパートーナーズ・グループはデータおよびM&A仲介業務プロセスの提供を行い、松尾研究所はデータ分析およびアルゴリズムの開発を行っていく。
両者の培ってきたノウハウ・技術を用いて、優れた企業の発掘から、M&A取引の締結まで、今後もM&Aの業務全体を DX する AIを開発してまいき、M&Aや事業承継の最適な情報を、すべての経営者に届けることで、日本の優れた経営資本を保全することをめざしていく。
M&Aや事業承継に興味のある人が気軽に相談できる場、3つのポイント
今回リリースするチャットボットは、専門性が高いM&A領域への広範な質問に回答する機能を備えている点が特長。
M&Aは、専門性が高いために弁護士や税理士でも、企業の相談に乗れる人は多くない。
そこでファーストパートーナーズ・グループと松尾研究所は、M&Aや事業承継に興味のある人が気軽に相談できる場をつくり、業界全体の活性化を図るとともに、リテラシー向上を通して、売買当事者となる企業オーナーや従業員の保護をめざす。
サービスのポイントは次の3点だ。
◆LLM(大規模言語モデル)を用いた企業の業務内容の数値化
―――企業の情報を集約し、その情報をLLMによってAIにもわかる数値に変換することで、数字による企業評価を可能に。
◆独自モデルにより、マッチング評価を可能に
―――企業の業務内容やビジョン、ビジネスモデルを数値化し、かつ、AIが集約した過去のM&A事例をもとに、ビジネスモデルやビジョンのマッチング評価を可能に。
◆M&A業務をLLMを用いて効率化
―――チャットやタスク管理、案件管理、進捗状況の把握などをAIが行うことで、よりハードルが低く、コストのかからないM&Aを実現可能に。
ファーストパートナーズ 中尾剛 代表取締役「経営者に選択肢が広がる」
「より身近にM&Aを感じていただけるように、昨年より松尾研究所と共同で本プロジェクトを進行してきました。
この度リリースする本サービス(MAI)は、専門性の高いM&Aに関する質問に回答する機能を備えています。
MAIを利用していただくことで、経営者の皆様に選択肢が広がると考えております。
企業間のマッチングにおいても、決算書の数値や過去の事例から導き出すだけではなく、企業のビジョンや業務体制などもシステムが考慮し導き出します。
加えて、労働集約型のビジネスモデルであったM&A業務を効率化し、よりスピーディーかつ正確な顧客提案が行える体制を整備しています。
それにより、一層質の高いサービスを提供し、『金融のベストパートナー』としてIFA業界をリードしていけると信じています」
―――説明会に登壇した、ニッセイアセットマネジメント 松波俊哉チーフ・アナリストも、「日本株が上昇し、M&A件数増加が見込まれるいま、攻めのM&Aは経済発展の原動力だ」と伝えた。