「自分は走ってないのに、走っている人をみて、こんなにうれしいと感じたことはないかもしれない」
―――そうしみじみ思わせてくれたのが、Google「Project Guideline」体験会(3/17 @横浜ラポール)。
視覚障がいがある人が、AI の力で一人で自由に走れる可能性を目の当たりにして、だ。
視覚障がいがある人が、AI の力で一人で自由に走れる時代へ
Google「Project Guideline」は、視覚障がいがある人が、AI の力で一人で自由に走れることをめざす Google の研究開発プロジェクト。
視覚障がい者はランニング時、通常は伴走者の助けを得て走る。そこを「自分の思う通りに、誰にも頼ることなく自由に走ってみたい」と思う人たちに応えるべく、機械学習技術を活用した画像認識 AI を開発し、日本でも 2021 年に発表し、アップデートを重ねてきた。
Androidスマートフォンと耳を塞がないイヤホンで
Google「Project Guideline」の構成はシンプル。Androidスマートフォンと耳を塞がないイヤホンだけ。
Android スマートフォンで動作する画像認識技術を活用し、スマホを腰位置にとりつけ、カメラが地面に引かれたトラックラインを追従する。
指定した走行ラインをスマホがつねにウォッチし、ランナーがそのラインよりも左にそれたか、右か、中央なのかを瞬時に判断し、ヘッドフォンでその状況をランナーに伝えてくれる。
ランナーはその音の左右の変化をキャッチして、走路を修正しながら、ラインの上を走れるようになる。
日本語対応、拡張現実(AR)技術を採用しアップデート
そしてこの Google Project Guideline 体験会(3/17 @横浜ラポール)では、その最新バージョンを装着してのテストラン。
日本パラリンピック委員会 河合純一 委員長や、全盲ランナー御園政光Project Guideline 開発パートナー、盲学校の先生や、視覚障がいランナーたちが参加。そのアップデートを走って実感した。
今回の注目アップデートは、要望が多かった表示言語の日本語対応に加えて、拡張現実(AR) などの新しい技術をシステムに導入したこと。
Google が開発する拡張現実(AR)プラットフォーム ARCore などの技術を組み合わせることで、空間認識能力をさらに向上させた新システムへとアップデートした。
これで、空間認識能力がさらに向上したことから、より多くの視覚障がいランナーが Project Guideline を体験できる定期走行会プログラムが実現。横浜市内でスタートするという。
今回のアップデートで、高い精度でランナーに通知
このアップデート版は、前方にあるカーブを事前に認識し、高い精度でランナーに通知できるようになったのが新しい。
逆も同じ。カーブから直線へと移るときに、その曲線と直線の接点を、逸脱せずになめらかに走って行けているのを実感した。
Google によれば、この空間認識能力を活用して障害物の検知に対応させることなどにも取り組んでいるという。
世界中の開発者や研究者が Project Guideline の AI 技術を新たなアクセシビリティへ応用できる
Google は2023年、おもにアクセシビリティ分野で技術革新に取り組む人たちのコミュニティに貢献すべく、Project Guideline をオープンソースとして公開。
開発した基幹技術のソースコードや学習済みの画像認識モデル 、3Dシミュレータなどを無料で誰でも活用できる。
これで、世界中の開発者や研究者が Project Guideline の AI 技術を新たなアクセシビリティへの取り組みに活用したり、さらにまったく新しい分野の技術開発への応用も可能に。
Google Project Guideline 走行会@横浜 参加者募集中!
Google は、横浜市 障害者スポーツ文化センター 横浜ラポールの協力を得て、視覚障がいランナーたちが Project Guideline を体験できる定期走行会プログラムをスタート。
「より多くのランナーの方に、自由に、一人で走れる体験をしていただき、 Project Guideline をよりよい技術としていくためのご意見をいただける環境をつくっていきます」というから、「Google Project Guideline をつけて走ってみたい!」と思った人は、公式サイトからエントリーしてトライしてみて↓↓↓
https://www.yrsrapport.or.jp/events/event/google-project-guideline-%e8%b5%b0%e8%a1%8c%e4%bc%9a/
自治体や企業・団体などパートナーも募集中
また、同様に Project Guideline を施設に導入し、視覚障がいのあるランナー向けのプログラムを提供する全国の企業・自治体・団体パートナーを募集中↓↓↓
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdBZpMJzBo327V30ALCDlxzopeOQsHrHVQwWTKSwxlr78AZ8g/viewform
Google Project Guideline は今後も、当事者を含むコミュニティと協業するかたちでの研究開発をすすめ、より多くの視覚障がい者たちが、自由に思うままに走れる環境をつくる活動を続けていくという。