JR東京駅日本橋口や東京メトロ大手町駅に直結するサピアタワー1階に、2021年3月31日、無人決済システム「TTG-SENSE」を導入したファミリーマートがオープンする。

店内で欲しい商品を手に取り、出口付近のタッチパネルで表示内容を確認・決済する。入店から退店まで店員と対面することなく、スピーディーな買い物が可能だ。決済手段は現金・交通系ICカード・クレジットカードいずれかで、現時点ではたばこの購入や収納代行サービスの利用等はできない。

欲しい商品を手に取り
出口付近のタッチパネルで確認・精算するだけ

システムを担当するのは株式会社TOUCH TO GO。昨年開業した山手線の新駅「高輪ゲートウェイ駅」の無人決済コンビニ「TOUCH TO GO」を手掛ける。同社とファミリーマートは本年2月26日に資本業務提携契約を締結し、このたびの開業に至った。

高輪ゲートウェイ駅ではQRコード付き自動改札機など、様々な新技術が試験的に導入されている

ファミリーマートはマイクロマーケットの開拓を視野に

マーケット開拓について説明する同社執行役員 ライン・法人室長 狩野智宏氏

コンビニに無人決済システムを導入すればどのようなメリットがあるだろう?

通常、ファミリーマートでは常時2名以上のスタッフを配置して店舗を運営する。仮に無人決済システムを導入すれば、コンビニ二大業務の片割れであるレジ業務をほぼなくせるため、常時1名でバックヤードでの作業ないし店内の商品陳列を行う体制にできる。

だが、ファミリーマートの狙いはこうした省人化・省力化(人手不足への対応)だけではない。

同社はこれまでフランチャイズシステムで成長してきた。しかし新店舗を出店するビジネスモデルはコロナ禍においては難しい段階にきており、同社は新たなマーケットの開拓につながる手段としてデジタル活用を選択。TTGの無人決済システムを利用し、今まで出店できなかった規模の病院やオフィスなどにも積極的に出店していくとする。

現時点ではたばこの販売に対応していないため、その分売り上げは下がる見込みだが、ファミリーマートは無人決済システムの導入に意欲的だ。今後についてはまだ検討中としながらも、システムの不備や改善項目などをレビューしながら次の開店につなげていく姿勢を示した。

無人決済システムの進化と洗練

入口のサイネージにはICカード、クレジットカードのほか「現金でもご利用可能です」と表示されている

高輪ゲートウェイ駅のTTG店舗にはなかった特徴として挙げられるのは「現金決済」だ。ファミリーマート側の説明によれば、現状でも「7~8割のお客様が現金でお支払いしている」とのことで、現金決済への対応はマストだったという。ただ無人店舗をいち早く展開する方を優先したことから、ファミペイには現時点では対応しておらず、今後の課題となっている。

TTGの阿久津智紀 代表取締役社長によれば、今回の導入にあたり無人決済システムはさらに洗練されている。センサーを改良したことで商品の詰まり具合やボリューム感は現実のお店に近づき、販売の多様性に対応できるようになった。導入にかかる時間も従来の約半分・1ヶ月半ほどまで短縮されており、全体として導入コストを下げることにも成功している。

無人決済システムの導入は高輪ゲートウェイ駅の「TOUCH TO GO」、紀ノ国屋初無人決済小型スーパーマーケット「KINOKUNIYA Sutto目白駅店」に続き今回で三店目。コンビニに関してはしばらくはファミリーマートとの協業で進みそうだが、他の業者についても「協業のシナジーがあれば僕らとしては進めていきたい」(阿久津氏)と語った。

文/写真:一橋正浩

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