―――歌舞伎町は自分の街ではないなと思いながら歩いていた。根っからの優等生気質なので、不良感が漂っている人がうろうろしているだけで全くリラックスできない。というか普通に怖い。

そう始まる、東京・新宿を舞台とした、新宿ネオン街 色の“学術エンターテイメント”が、いま注目を集めている。

書籍タイトル『偽者論』。 カバーには「NISEMONORON」「Fake Personality Cluster」とある。

学術エンターテイメントとくくるのは、ガッチガチの医学書を出す老舗版元、金原出版が手がけた「初のエンタメ、文芸、サブカル系書籍」。

著者は、精神科医で詩人の尾久守侑(おぎゅう・かみゆ)。これまで小説『天気予報士エミリ』(群像7月号)、詩集『国境とJK』『ASAPさみしくないよ』『悪意Q47』(思潮社)、医書『精神症状から身体疾患を見抜く』『サイカイアトリー・コンプレックス』(金芳堂)、『器質か心因か』『思春期、内科外来に迷い込む』(中外医学社)などを発表。2020年にはエルスール財団新人賞を受賞し、マルチな才能で注目を集める新鋭。

健康だけど病んでる“ニセの自分”を認めるヒントが詰まった1冊といえる、この本について追いかけてみる。

健康だけど”病んでいる” パーソナリティを巡る旅へようこそ

精神科医で詩人の尾久守侑と、金原出版が世に問う『偽者論』の説明文には、こう記されている↓↓↓

「私たちは健康だけど“病んでいる” 『人にどう思われるか』を感じ取るセンサーが過敏で、苦痛なまでに空気を読みすぎて人に合わせてしまう、そんな自分を偽者の仮面で隠していた。その仮面を他人から暴かれる恐怖に怯えながら。

表面上はうまくやっているけれど『自分は本物ではなく、偽者である』という虚無感に悩まされている現代人のパーソナリティに迫る。自身も『偽者』の当事者である著者が、そのパーソナリティの構造について解き明かしていく。

東京・新宿を舞台に『マッチングアプリ』『パパ活』『推し』『人間関係リセット』などの現代の文化や現象と照らし合わせながら、ときにユーモラスに、ときに専門学的に叙述されていく学術エンターテイメント。まったく新しい読書体験を。健康だけど”病んでいる”。パーソナリティを巡る旅へ、ようこそ」 

“自分の偽者”について「なるほど、そうか」と……

第0章 本物と偽者
COLUMN 1:牽強男子
第1章 世間カメラ
 COLUMN 2:警告出血
第2章 周波数
 COLUMN 3:月曜日の朝、シャンプーが目に入った
第3章 距離
 COLUMN 4:何度目の朝食か
第4章 擬態
 COLUMN 5:部分恋人
第5章 諦念
 COLUMN 6:タメ口考
第6章 朝食
 COLUMN 7:リエゾンという雰囲気
第7章 解題
 COLUMN 8:らしくない
第8章 脱出
 COLUMN 9:軌跡のアーカイブ

―――『偽者論』(尾久守侑/金原出版)は、すべての章で東京・新宿を舞台としたひとりの主人公の“ある日”が描かれている。

そこにつねにつきまとうのは、「偽者クラスタ」の存在。

本書ではこの「偽者クラスタ」について冒頭、「表面上はうまくやっているけど「自分は本物ではなく、偽者である」という虚無感を拭うことのできない、現代のパーソナリティを持つ人々のこと」と定義している。

この偽者クラスタと自分をめぐる、“ある日”のことが縦書きで描かれ、さらに章の終わりに「警告出血」「部分恋人」「タメ口考」といった横書きのコラムをおいている。この縦書きと横書きが交じり合うつくりも“新しい読書体験”のひとつ。

そのすべての章で、「だんだん生きている感覚というのが麻痺してきて、昼間から西口にある小田急ハルクの樓外樓飯店で高級焼きそばを食べてしまった」といった、新宿ローカルな話題から始まるのに、前述のようなコラムをはさみながら、後半には「スキゾイド」「自己愛」「疾病擬態」「周波数」といったキーワードと図解を入れて、なんとなく“自分の偽者性”について「なるほど……そうか」と“気づきのヒント”もある。

―――『偽者論』の著者 尾久守侑と、金原出版 中立稔生 編集部員は、新宿の喫茶室ルノアールで、こう教えてくれた。

「いまの新宿にいる人たちをいろいろな角度から考察した一冊」

「SF作品が好きな方にももおすすめ」

「装丁デザインも出版業界では初のタマムシフィルムに。新宿ネオン街や偽者をイメージ」

―――そんな新感覚がいっぱい詰まった『偽者論』(尾久守侑/金原出版)が気になる人は、公式サイトをチェックしてみて↓↓↓

◆『偽者論』(尾久守侑/金原出版)
https://www.kanehara-shuppan.co.jp/books/detail.html?isbn=9784307102216

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