まぶたが下がる、ものが二重に見える、手足に力が入らない、飲み込めない、話しにくい、ろれつがまわらない、鼻声になる、体がだるい・重い……。

こうした症状が日常的に続き、なかなか専門医にまでたどりつかず、正しく診断が確定しない、厚生労働省の指定難病・自己免疫疾患ひとつ―――それが、重症筋無力症(MG:Myasthenia Gravis)。

重症筋無力症(MG:Myasthenia Gravis)は、神経と筋肉をつなぐ部分に障害が起こることで生じる自己免疫疾患のひとつ。

患者数推定4万人、周囲の理解が得られず失職も

深刻な自己免疫疾患やがんに苦しむ人々の生活の向上に貢献すべく、免疫領域に特化したグローバル医薬品企業 アルジェニクスの日本法人、アルジェニクスジャパンは6月7日、都内で重症筋無力症(MG)啓発イベントを開き、国際医療福祉大学 医学部 脳神経内科学 村井弘之 教授、MG 患者で声優の野下真歩、筋無力症患者会 恒川礼子 理事長、タレントの渡辺満里奈が登壇し、いまだ認知されてない重症筋無力症(MG)について考えた。

村井教授はイベント冒頭、重症筋無力症(MG)の現状について説明。

2018年調査で確認された患者数だけで3万人弱も存在し、2023年時点で4万人はいるのではと推定した。

また、重症筋無力症(MG)と診断されるまで時間がかかることも触れ、前出のような症状から、耳鼻咽喉科や内科、脳神経外科、精神科などで初診を受け、なかなか重症筋無力症(MG)として治療が始まらないといった課題もあげた。

さらに、周囲の理解が得られず、仕事場などでつらい思いを受けたり、孤立・不安から失職に至るケースも伝え、重症筋無力症(MG)の27.2%が、失職を経験しているという切実な事実も明らかにした。

新たな治療薬も登場、大きく変わるMG治療

今回の重症筋無力症(MG)啓発イベントでは、重症筋無力症(MG)患者に対して、適切な治療を行うことはもちろん、家族や友人、また職場の同僚や雇用者など周囲の人たちの理解や、職場や学校、生活環境の調整などが必要であることを参加者全員が共有。

さらに、重症筋無力症(MG)という難病の認知拡大と、患者の悩みに寄り添う社会が求められることを訴えた。

「わたしも重症筋無力症(MG)確定診断が決まって24年。元気に出るたびに前後で調節しながら動くというのがわれわれの病。最終目標は『筋無力症患者会の解散』。こうした患者会がなくてもだいじょうぶな時代になってくれれば」と患者会 恒川礼子 理事長はいう。

また国際医療福祉大学 村井弘之 教授は「医療現場では、新たに出てきたいい薬を使いこなせていないという課題もある。治療選択肢が増えるとその選択や治療の組み立ての難しさもある」と伝え、こう続けた。

「アルジェニクスが公開しているマイゴールツールもあるので、ぜひ活用して治療に取り組んでほしい。自分で首上げとか腕上げなどのチェックできる項目がある。こうしたツールを使って、自分自身の現在の状況を把握してほしい」(村井弘之 教授)

村井弘之 教授がいうツールとは、アルジェニクスが重症筋無力症患者のために立ち上げた情報サイト「MGユナイテッド」(https://mg-united.jp/)からダウンロードできる「マイゴール・マイスコアブック」(村井弘之 教授 監修)。

「マイゴール(私の治療目標)を書き留め、自分ひとりの心に留めず、医師に伝えるようにしましょう。医師にとって、患者さんのマイゴールや目標は、重症筋無力症を治療していくうえで大きな指針になります」と村井弘之 教授はいう。

MG患者で声優の野下真歩も出演、マンガ動画でMGを知ろう

アルジェニクスジャパンは、難病指定の希少疾患である重症筋無力症(MG)について理解を深める啓発プロジェクト「知ることから始めよう。MG のこと。」を始動。

同啓発プロジェクトは、患者やその家族がより良い生活を過ごせるような環境を整えるため、重症筋無力症(MG)という疾患について広く一般社会に認知され、理解されるとともに、患者と医師とのコミュニケーション活性化に役立てることを目的に展開。

6月7日からは、MG患者である声優の野下真歩をはじめとした、3名の患者の実体験をもとにしたストーリーをマンガ動画にし、新規開設 YouTube チャンネルなどで順次公開。

マンガ動画は、MG患者と家族など、周囲との向き合い方や、仕事・リハビリとの向き合い方、医師とのコミュニケーションについて、実際のエピソードにもとづいて描き、MGについて理解が深まる構成になっているから、いまこそ動画でこの病について、知ってみて。

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