台風2号の影響を受けた第42回横浜開港祭。6月2日は中止となりましたが、翌3日は天候も回復し、多くのプログラムが実施されました。長蛇の列ができていたのは玉川大学・玉川学園の「Tamagawa Mokurin Project」ブースです。

https://www.tamagawa.jp/university/news/detail_21869.html


玉川学園は東京都町田市に位置し、校地面積約61万㎡を誇る教育機関。校地内には幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、大学院だけでなく研究所なども点在しています。最大の特徴は自然の豊かさ。1929年に丘陵地で設立されたため、今でも眼前には二次林が広がる緑豊かなキャンパスです。
二次林というのは、適切に管理しなければ倒木などの災害が起きやすくなってしまいます。「自然の尊重」を教育理念に掲げる同学園では、校地内にある木を教育活動に取り入れる活動がスタート。2022年度から「Tamagawa Mokurin Project」を本格稼働させました。

https://www.tamagawa.jp/sdgs/article/detail_010.html


「Tamagawa Mokurin Project」はコロナ禍明け、4年ぶり開催となった横浜開港祭で初めて公の場に出展。「玉川産」のヒサカキ、ケヤキに小型レーザー彫刻機でデザインを刻印し、キーホルダーやコースターなどにするワークショップを実施。機械がデータを読み込むと、数分で刻印された作品が完成。これには小さな子どもを連れた家族やカップルも大喜びの様子でした。
プロジェクトを推進している総務部管財課の北川昭一課長は「出展したブースは玉川の間伐材と丘アワビの殻を使ったワークショップ。横浜開港祭のサブテーマである『サーキュラーエコノミー』と玉川学園の教育理念がマッチした。特にイベントに参加した玉川大学の学生らは、自分たちが研究している技術や作品を社会に伝えられる良い経験になったのでは」と手応えを口にしました。

空間デザインは芸術学部が担当


ブース内の椅子や机といった家具を始めとする空間デザインは玉川大学芸術学部によるもの。同学部はたびたび企業や地域と連携し、木を素材にしたものづくりに関するデザインプロジェクトに参画しており、横浜開港祭でもその技術を披露しました。直近では三菱地所ホーム株式会社が推進する木造木質化プラットフォーム「KIDZUKI」との共創も展開。芸術学部の学生がデザイン、制作した木工家具が期間限定で横浜市栄区にも設置されました。

同学部のアート・デザイン学科で講師を務める堀場絵吏先生は「企業との産学連携ほか、併設小学校からワークショップのオファーもある。工学部をはじめとして他学部や地域との連携を増やし、木を使ったものづくりの輪を広げていきたい」と話します。

「つくった作品を世に問う」新設工学部デザインサイエンス学科


横浜開港祭においては、芸術学部がブースの空間デザインというハード面を担当。いわゆるソフト面を担当したのが、2023年4月に新設された工学部デザインサイエンス学科です。

https://www.tamagawa.ac.jp/college_of_engineering/design/

デザインサイエンス学科の特徴は「多様化する課題に対応できるデザイン能力を身につけることができる」でしょう。カリキュラムには「知財」という領域もカバー。アートの自由や新規性、商品化までのプロセスといった、ビジネスレベルに落とし込まれた実践的な授業を行います。
「当然、デザインに興味を持つ学生が多い。機械系だけでなく最近ではガジェット系に興味を持つ学生も。芸術学部がデザインした作品と工学部デザインサイエンス学科でデザインした機構を組み合わせて一つの動く作品を生み出すこともできる。学部学科を超えて連携できる環境は、学生にとって非常に有意義ではないか」と話すのは工学部デザインサイエンス学科講師の平社(ひらこそ)和也先生です。

工学部と芸術学部が主な拠点としているのは玉川大学キャンパス内にあるメーカーズフロア。「デジタルエリア」と「工作機械エリア」の2つに分かれており、大型3Dプリンターやシートカッター、打刻機、レーザーカッター、弓鋸切断機、シャーリングマシン、フライス盤などモノづくりに必要な機材が豊富に揃っています。平社先生は「玉川の木を有効活用するTamagawa Mokurin Projectと、芸術学部、工学部デザインサイエンス学科の連携でいろんなことにチャレンジできる。“つくった作品を世の中に問うことができる”という環境がデザインサイエンス学科の魅力」と語りました。

文部科学省らが主催する「デザインパテントコンテスト」。玉川大学工学部は6年連続で受賞し、今年は特許庁長官賞も受賞している、モノづくりの強豪大学と言えるでしょう。平社先生は「工学部デザインサイエンス学科と芸術学部の学生2、3人がメーカーズフロアに集まれば、簡単なプロトタイプならすぐにできあがってしまう」と話していました。「デザインの力で世の中を動かしたい」という人にぴったりの新時代を志向する人材育成の学科が工学部に誕生しています。

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