アシュアランス、コンサルティング、法務、ストラテジー、税務、トランザクションなどのサービスを通じ、世界が直面する複雑な問題に対し優れた課題提起(better question)をすることで、新たな解決策を導くことをめざす EY 。

EY チームは150 か国以上で、データとテクノロジーの実現により信頼を提供し、クライアントの成長・変革、事業支援を展開している。

そんな EY は、企業の気候変動リスクに関する最新調査レポート「EY グローバル気候変動リスクバロメーター(2023 年度版)」を公開。

「企業の気候関連情報の開示は前進するが、気候戦略とアクションでは期待を満たせていない。情報開示は進むも戦略への統合に課題がある」と伝えた。

同社は、今回の調査結果をふまえ、こう考察・報告している。

気候戦略と企業戦略の分離

同調査は、多くの企業が気候変動に対する戦略を本格的な企業戦略として統合していないことを指摘。

企業は温室効果ガス削減の目標を掲げているものの、実際にはそのコミットメントにもとづく行動計画(ネットゼロ移行計画)を具体的に開示している企業は約半数にとどまった。

財務諸表への気候リスク反映の不足

調査対象企業の約74%が、気候リスクの定量的影響を財務諸表に反映していないと報告。

これは、気候変動の経済的影響が企業の財務報告に十分に取り入れられていないことを意味する。

開示の質とカバー率は向上

調査結果では、気候関連情報の開示の質とカバー率が前年比6%向上していることが明らかに。

とくに発展途上国での改善が目立ち、全体的な進展にはまだ課題がある。

目標達成に向けた意思を証明するための具体的な行動が必要

今回のEY調査では、気候変動に関する企業の対応状況を定量的に評価するもので、全世界の企業の情報開示の動向を追跡している。

調査によると、気候関連情報の開示には進展がみられるものの、その質と企業戦略への統合度には改善の余地がある。

とくに、温室効果ガス削減目標の遵守やネットゼロ移行計画の開示については、目標達成に向けた意思を証明するための具体的な行動が必要という。

EY 調査は、気候変動リスクの定量的インパクトが財務諸表に反映されていない企業が74%に上ることを指摘。

企業戦略と環境インパクトの間には依然として大きな隔たりが存在していることが示唆された。

また、気候関連の開示情報の粒度は国や地域によって大きな差があることも明らかに。

英国やドイツなど一部の国では開示の質が高いいっぽうで、インドや中国などでは大きな改善が求められる状況に。

EY が示す「アクションへ前進するための道のり」

今回の EY 調査では、気候変動に対する世界レベルの行動計画を後押しするために、企業が実行を検討すべき 3 つの重要なアクションを例示した。

◆1.負担からアクションへ 思考の転換

最高の業績を上げる企業は、情報開示を態度とアクションを推進するために活用し、気候リスクをめぐるコンプライアンスを実行可能なオポチュニティと捉えている。

こうした企業は、詳細で厳密なデータの開示とともに、当該データにもとづいて戦略の策定からアクションまで一貫して実施。

◆2.データにもとづく脱炭素化

データはサイロ化するのではなく、リスク管理とつなげて統合し、CO2 削減の加速に役立てられるべき。

◆3.取締役会での重要性の向上

気候データは、取締役会レベルで活用され、企業戦略に影響を与えるものではなくてはならず、経営陣は気候インパクトについて組織全体に対して一貫したアプローチを取るべき。

気候変動対策を軸にした新たな経済圏の形成を

EY Japan で気候変動・サスティナビリティサービス(CCaSS)のリーダーとして業務に従事するかたわら、環境省中央環境審議会委員、東北大学大学院非常勤講師なども務める EY Japan 牛島慶一リーダーは、「日本企業の開示の質と量は欧米諸国と同水準を維持しているが、グローバルなバリューチェーンにおける上流・下流との連携の弱さや、新技術の具体的な実装が必要である」と指摘する。

また、地域格差の問題にも言及し、「ASEANやインド、中東などの新興国では量的に進化しているが、質においては先進国との間に大きな差がある」と。

「この調査結果では、気候変動に対する企業の取り組みが、単なる開示を超えて、具体的な行動と戦略に統合される必要があることをあらためて浮き彫りにした。企業は気候変動対策を軸にした新たな経済圏の形成に向けて、より積極的なアプローチを求められている」

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